欧州のトークン化規制、米国に4年遅れのリスク
EU規制企業8社が警告。米国が2026年にもT+0決済開始予定の中、欧州の慎重すぎる規制が資本流出を招く恐れ。日本企業への影響は?
2030年まで待てば、もう手遅れかもしれない。欧州のブロックチェーン企業8社が木曜日、EU政策立案者に緊急警告を発した内容は、日本の金融機関にとっても他人事ではない。
米国の電光石火、欧州の慎重すぎる歩み
Securitize、21X、Boerse Stuttgart Group傘下のSeturionなど、EU認可を受けたデジタル資産企業8社が共同で発表した書簡は、欧州が築いてきたトークン化分野での先行優位が「成功の罠」に陥る危険性を指摘している。
トークン化とは、株式、債券、ファンドなどの実物資産をブロックチェーン上のトークンとして発行するプロセスだ。決済速度の劇的な向上、透明性の増大、分割所有の実現などが期待され、市場規模は今後数年で数兆ドルに達すると予測されている。
問題は、米国の動きの速さにある。米証券取引委員会(SEC)は最近、同国最大の決済機関DTCCに対してノーアクション・レターを発行し、本格的なトークン化決済への道筋を開いた。2026年にもT+0(即時決済)市場が稼働する可能性があり、Nasdaqやニューヨーク証券取引所はトークン化証券による24時間取引の計画を発表している。
CMEグループはGoogleと協力してトークン化現金担保の開発を進めており、今年後半のローンチを予定している。
欧州の「慎重すぎる」規制が招くリスク
欧州は分散台帳技術(DLT)パイロット制度で法的枠組みを早期に導入したが、その制限が足かせとなっている。現行制度では、トークン化可能な資産に制限があり、取引量上限も60億~90億ユーロに設定されている。ライセンスには6年の期限もある。
企業らは、これらの制限を撤廃し、取引量上限を1000億~1500億ユーロに引き上げることを提案している。さもなければ、欧州の包括的な市場統合・監督パッケージ(MISP)が2030年に完全施行されるまでの間に、米国が4年の先行優位を築くことになる。
「欧州が検討している間に、米国はすでに行動を起こし、未来のグローバル経済のデジタル基盤を所有する軌道に乗っている」と書簡は警告する。
日本への波及効果と戦略的選択
日本の金融機関や企業にとって、この動向は重要な意味を持つ。三菱UFJ銀行や野村證券などは既にデジタル資産分野への投資を拡大しており、グローバルな資本市場のデジタル化の波に乗り遅れるリスクを認識している。
特に注目すべきは、日本企業が欧米どちらの規制体系に準拠するかという戦略的選択だ。米国市場が先行すれば、日本の金融機関も米国基準での事業展開を優先する可能性が高い。これは、欧州市場での事業機会を相対的に縮小させる要因となりうる。
日本取引所グループは既にブロックチェーン技術の活用を検討しており、どの地域の規制モデルを参考にするかが今後の競争力を左右する可能性がある。
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