米国家計債務が過去最高18.8兆ドル、日本への教訓は?
アメリカの家計債務が記録的な18.8兆ドルに達し、延滞率も上昇。日本の家計と金融政策への示唆を探る。
18.8兆ドル。これは2025年第4四半期時点での米国家計債務総額です。5年前と比べて4.6兆ドルも増加し、史上最高を記録しました。
数字の背後には、ジェイリン・シングルトンさんのような個人的な物語があります。27歳のソーシャルワーカーである彼女は、大学を卒業し、同世代より早くマネジメント職に就き、娘のために懸命に働いてきました。しかし2024年末の解雇をきっかけに、わずか1年で状況は一変しました。
債務の内訳と深刻化する延滞
連邦準備制度理事会ニューヨーク支店の報告によると、住宅ローンが債務の大部分を占め13.6兆ドルに達しています。一方、住宅以外の債務(学生ローン、クレジットカード、自動車ローンなど)は5.17兆ドルとなりました。
特に懸念されるのがクレジットカード債務です。残高は1.28兆ドルに達し、前年同期比5.5%増となりました。これは1999年の統計開始以来最高の水準です。平均金利は23.77%と高止まりしており、一度借金の罠に陥ると抜け出すのが困難な状況が続いています。
さらに深刻なのは延滞率の上昇です。2025年第4四半期時点で、全債務の4.8%が何らかの段階の延滞状態にあり、前四半期から0.3%増加しました。低所得地域では延滞率が22.8%に達し、高所得地域でも8.3%まで上昇しています。
住宅市場に現れる亀裂
住宅ローンの延滞状況は特に注意を要します。全米抵当銀行協会の調査では、2025年第4四半期にすべての主要ローンタイプで延滞率が上昇しました。特にFHA(連邦住宅局)ローンの延滞率は11.52%に達し、これは2012年頃の水準に匹敵します。
「コロナ禍を除けば、2012年頃まで遡らないと同じような水準は見られません」と、全米抵当銀行協会のマリーナ・ウォルシュ副会長は指摘します。
問題は延滞の長期化です。30〜60日の初期延滞は横ばいですが、90〜120日の後期延滞が増加傾向にあります。これは差し押さえの前段階であり、債務者にとって深刻な状況を意味します。
日本への示唆:異なる債務文化の意味
米国の家計債務危機は、日本にとって重要な教訓を提供します。日本の家計債務対GDP比率は約60%と、米国の約75%よりも低い水準を維持しています。これは日本人の伝統的な貯蓄志向と慎重な借入姿勢の表れと言えるでしょう。
一方で、日本も無関係ではありません。超低金利政策の長期継続により、住宅ローンの借り換えや新規借入が増加しています。また、キャッシュレス決済の普及とともに、クレジットカードの利用も拡大傾向にあります。
金融専門家は、債務管理の重要性を強調します。「収入の多さは必ずしも資産の多さを意味しない」と、フィラデルフィアのブリン・マー・トラスト・アドバイザーズのジョン・ウォルターズ氏は指摘します。
債務返済には「雪崩方式」(高金利債務から優先返済)と「雪だるま方式」(少額債務から優先返済)の2つのアプローチがありますが、重要なのは緊急時の貯蓄を確保することだと専門家は強調します。
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