ファイザーとメルクの決算が示す製薬業界の静かな転換点
製薬大手2社の決算から見える業界の現在地。オンコロジー頼みから脱却できるのか、特許切れという時限爆弾を抱える中での戦略を分析
メルクの年間売上の約半分を占める抗がん剤キイトルーダ。320億ドルという巨額売上を記録したこの薬の特許が今後数年で切れる。製薬業界最大手2社の決算が、業界全体が直面する「成長の踊り場」を浮き彫りにした。
数字が語る現実
2月4日に発表されたメルクとファイザーの2025年決算は、表面的には堅調だった。メルクの第4四半期売上は前年同期比5%増の164億ドル、通年では650億ドルを突破。一方のファイザーは通年売上が2%減の630億ドルとなったものの、調整後1株利益は4%増の3.22ドルと利益率の改善を示した。
しかし数字の裏側には、両社が共通して抱える構造的課題が見える。メルクにとってキイトルーダは文字通り「金の卵を産む鶏」だが、2028年以降の特許切れで売上の大幅減少は避けられない。320億ドルという売上規模は、新薬1つで埋められる規模ではない。
ファイザーも同様の課題に直面している。同社は2026年の売上見通しを595億〜625億ドルと据え置いたが、これは特許切れによる売上減少を新薬で相殺するのがやっとという現実を反映している。
オンコロジー頼みの危険性
両社の決算で際立ったのは、オンコロジー(がん治療薬)部門への依存度の高さだ。メルクのキイトルーダは前年比7%増と堅調な成長を続け、ファイザーもパドセブやロルブレナといったがん治療薬が業績を下支えした。
この傾向は製薬業界全体の特徴でもある。高齢化社会の進展とともにがん患者は増加し続け、治療薬への需要は底堅い。しかし、オンコロジー一本足打法のリスクも無視できない。規制当局の価格圧力は年々強まり、競合他社からの後発品参入も激化している。
メルクが新薬ウィンレベア(肺高血圧症治療薬)で初年度14億ドルの売上を記録し、カプバキシブ(肺炎球菌ワクチン)が8億ドル近い売上を上げたのは、多角化戦略の一環と見ることができる。
日本市場への示唆
両社の戦略は、日本の製薬企業にとっても他人事ではない。武田薬品や第一三共、中外製薬といった国内大手も、特許切れと新薬開発の「魔の谷」に直面している。特に日本は世界第3位の医薬品市場でありながら、新薬承認の遅れや薬価制度の複雑さが課題となっている。
メルクが動物用医薬品事業で8%増の64億ドルを売り上げたのも注目に値する。日本では少子高齢化によりペット市場が拡大しており、動物用医薬品は今後の成長分野として期待されている。
パイプラインという希望と不安
ファイザーは2026年に約20件の重要な臨床試験開始を予定していると発表した。これは同社が将来の成長に向けて積極的な研究開発投資を続けていることを示している。しかし、新薬開発の成功率は一般的に10%以下とされ、巨額の投資が必ずしも成果に結びつくとは限らない。
製薬業界の研究開発費は年々増加しているが、承認される新薬の数は横ばいという「イノベーションパラドックス」も指摘されている。AI創薬やバイオテクノロジーの進歩により効率化が期待される一方、規制要件の厳格化により開発期間は長期化している。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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