パキスタン混乱、イラン最高指導者殺害で宗派対立が表面化
ハメネイ師殺害を受けパキスタンで暴動発生。宗派対立と経済危機が重なり、地域安定への懸念が高まる。日本企業への影響も。
3月1日、米国・イスラエルによるイラン最高指導者アリー・ハメネイ師の殺害は、予想外の場所で深刻な余波を生んでいる。パキスタンだ。
暴動の連鎖:カラチからギルギットまで
ハメネイ師の死が伝わると、パキスタン各地で抗議デモが暴動に発展した。最も深刻なのはカラチの米国総領事館前での衝突で、治安部隊が厳戒態勢を敷いている。さらに北部ギルギット地域では、シーア派とスンニ派住民の間で暴力的な衝突が発生し、少なくとも12人が死亡した。
パキスタンは人口の約85%がスンニ派、15%がシーア派という構成だが、この宗派バランスが今回の危機で一気に表面化した。特にギルギット・バルティスタン州は住民の約70%がシーア派で、イランとの文化的・宗教的つながりが強い地域だ。
経済への追い打ち:原油価格急騰の重圧
宗派対立に加え、パキスタン経済にとって致命的なのが原油価格の急騰だ。中東情勢の緊迫化を受け、国際原油価格は1バレル95ドルを突破。エネルギー輸入に依存するパキスタンにとって、これは既に脆弱な経済への追加打撃となる。
同国は現在、国際通貨基金(IMF)から30億ドルの救済融資を受けているが、インフレ率は依然として年率28%と高水準。原油価格上昇は、庶民の生活をさらに圧迫することになる。
地政学的ジレンマ:米国とイランの板挟み
パキスタンのシャリフ首相は微妙な立場に置かれている。米国との軍事・経済協力を維持しながら、国内のシーア派住民とイランとの関係も無視できない。
特に注目すべきは、パキスタンが進める中国パキスタン経済回廊(CPEC)プロジェクトへの影響だ。総額620億ドルのこのインフラ計画は、政情不安により遅延リスクが高まっている。中国企業の撤退や投資縮小は、パキスタン経済にとって致命的な打撃となりかねない。
日本企業への波及効果
日本企業にとっても無関係ではない。トヨタやホンダは現地生産拠点を持ち、政情不安は操業に直接影響する。また、パキスタンは日本の繊維製品の重要な調達先でもあり、供給網の混乱が懸念される。
日本政府は10年ぶりにパキスタンへの政府開発援助(ODA)再開を検討していたが、今回の情勢悪化により計画の見直しが避けられない状況だ。
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