核融合発電のコスト問題に新たな光明、レーザー不要の技術開発
Pacific Fusionが核融合発電のコスト削減につながる新技術を発表。1億ドル超のレーザー装置を不要にする画期的なアプローチとは。
核融合発電の最大の課題は、「反応を起こすコストが、売電価格より高くなってしまう」という経済性の問題だった。しかし、この難題に新たな解決策が現れつつある。
Pacific Fusionという企業が、サンディア国立研究所で行った実験結果を発表した。この技術は、従来必要とされていた1億ドルを超える高額なレーザー装置を不要にする可能性を秘めている。
核融合発電の現状と課題
現在、多くの核融合企業が2030年代前半から中盤に商用核融合発電所の稼働を目指している。Commonwealth Fusion Systemsのように数億ドルの巨大な反応炉を建設する企業もあるが、実際の稼働は来年以降となっており、経済性の証明はまだ先の話だ。
Pacific Fusionが採用するのは「パルサー駆動慣性閉じ込め核融合(ICF)」という手法。これは、鉛筆の消しゴム程度の大きさの燃料ペレットを100億分の1秒未満で圧縮し、原子を融合させてエネルギーを放出させる技術だ。
「圧縮が速いほど、温度が高くなります」と、同社の共同創設者兼CTO、Keith LeChien氏は説明する。
従来技術の限界とコスト問題
従来のパルサー駆動ICFには大きな問題があった。核融合に必要な高温状態を作るため、大型の電気パルスに加えて、レーザーと磁石による事前加熱が必要だったのだ。この事前加熱は全エネルギーの5~10%程度だが、システムの複雑さ、コスト、メンテナンス要件を大幅に増加させていた。
特にレーザー装置のコストは深刻で、「高ゲインのこの種システムに必要なレーザーの規模は1億ドルを超える」とLeChien氏は語る。これでは、競争力のある価格で電力を販売することは不可能に近い。
画期的な解決策:磁場リーク技術
Pacific Fusionが開発した新技術は、燃料ペレットを包む円筒の設計を微調整し、意図的に磁場を「リーク」させるというものだ。大きな電気パルスの前に、少量の磁場を燃料に浸透させることで、事前加熱の効果を得る。
「この円筒の製造方法にわずかな変更を加えることで、磁場が圧縮前に燃料に漏れ出し、温度を上げることができます」とLeChien氏は説明する。
燃料はプラスチック製のターゲットにアルミニウムで包まれて装填される。アルミニウムの厚さを調整することで、燃料に到達する磁場の量を制御できる。必要な精度は.22口径弾薬のケーシング程度で、「100年以上にわたって磨かれ、製造され、完成された技術」だという。
日本のエネルギー戦略への影響
日本は2050年カーボンニュートラル目標の達成に向け、核融合発電への期待を高めている。京都大学や量子科学技術研究開発機構なども核融合研究を進めており、この技術革新は日本の研究機関にとっても重要な示唆を与える。
特に、高コストが課題とされてきた核融合発電の経済性改善は、エネルギー輸入に依存する日本にとって戦略的意義が大きい。レーザー装置の削減により、建設・運用コストの大幅な削減が期待できる。
実用化への道のり
LeChien氏は、このような実験がシミュレーションと現実のギャップを埋める重要性を強調する。「多くの人がシミュレーションで『これは動く、あれは動く』と言いますが、実際にシミュレーションし、構築し、テストして、動作させるのは全く別の話です」
新技術による追加エネルギー消費は1%未満と極めて少なく、システム全体への影響はほぼ無視できる。磁石システムの除去により維持コストも削減でき、特にレーザー装置の除去による効果は絶大だ。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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