原油市場、ベネズエラとロシアの供給リスクを需要懸念が相殺し膠着状態
ベネズエラとロシアの供給リスクが原油価格を押し上げる一方、中国の需要懸念と米国の在庫増が上値を抑え、市場は膠着状態。地政学リスクとマクロ経済の綱引きを解説します。
国際原油価格は、地政学的な供給不安と世界経済の減速懸念が綱引き状態となり、方向感の定まらない展開が続いています。ロイター通信によると、市場はベネズエラへの制裁再開やロシアの精製能力低下といった供給引き締め要因と、中国の需要不振などの価格抑制要因を天秤にかけている状況です。
地政学リスクが供給を圧迫
供給面では、二つの大きな懸念が価格を押し上げています。第一に、米国政府がベネズエラの石油部門に対する制裁を事実上再開したことで、同国からの原油供給が再び制限されるとの見方が強まっています。これにより、日量数十万バレルの供給が市場から滞る可能性があります。
第二に、ウクライナによるロシア国内の石油精製施設へのドローン攻撃が継続していることです。これにより、ロスネフチやルクオイルといった大手企業の生産能力に影響が出ており、原油そのものよりもガソリンやディーゼルといった石油製品の供給をタイトにする要因となっています。
需要の弱さが価格の上値を抑える
一方で、価格の上昇を抑えているのが需要側の要因です。世界最大の石油輸入国である中国の景気回復の遅れが、世界経済全体のエネルギー需要を押し下げるとの懸念が根強くあります。さらに、米国の金融引き締め長期化観測も、景気を冷やし石油需要を減退させる要因と見られています。
先週発表された米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計で、市場予想に反して原油在庫が増加したことも、価格の重しとなっています。これらの要因が交錯し、ブレント原油は現在、1バレル=85ドル近辺での推移が続いています。
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