イランの銃声が止む時、暗号資産は動く
トランプ大統領のイラン紛争終結示唆を受け、イーサリアムが$2,000を回復。週6億ドルの機関投資家資金流入が示す「戦略的買い」の意味と、3月17日FRB会合が暗号資産市場に与えるリスクを分析。
戦争が終わる「かもしれない」という言葉だけで、市場は動いた。
3月10日(火)、ドナルド・トランプ大統領が「イランとの軍事的目標はほぼ達成された。紛争は非常に近いうちに解決する」と記者団に語ったことを受け、リスク資産全般が反発しました。イーサリアム(ETH)は$2,029まで回復し、数週間にわたって心理的な節目となってきた$2,000の水準を再び上回りました。ソラナ(SOL)が2.9%高の$85.67で上昇を牽引し、BNBが2.6%、XRPが1.7%それぞれ上昇しました。
アジア株式市場も同様の反応を示し、月曜日の3.7%急落から一転、2%の反発を記録。MSCI アジア太平洋指数のテクノロジー株は3.5%上昇しました。月曜日に1バレル$100を超えていた原油価格も下落に転じています。
「すでに織り込み済み」——機関投資家は何を見ていたのか
注目すべきは、今回の反発が単なる安堵売りではない可能性です。
暗号資産データ分析会社Nansenのアナリストは、「暗号資産市場はすでにネガティブな材料を吸収し、価格に織り込んでいた」と指摘します。つまり、市場はヘッドラインに反応したのではなく、実はより深いマクロ悪化を「すでに乗り越えていた」という解釈です。
この見方を裏付けるデータがあります。CoinSharesによれば、先週(3月第1週)の暗号資産ファンドへの資金流入額は週間6億1,900万ドルに達しました。このうち5億2,100万ドルがビットコイン関連商品に向かい、運用資産総額(AUM)は1,083億ドルに到達しています。
この資金が流入したのは、S&P500が1兆ドルの時価総額を一日で失い、米国経済が9万2,000人の雇用を失った週のことです。Global Settlementの共同創業者兼CEO、ライアン・カークリー氏はこう語ります。「スポットビットコインETFは価格が下落する中でも資金を集め続けている。これは機関投資家が戦術的な参入機会として捉えていることを示唆しており、投げ売りではない。」
日本の機関投資家にとっても、この動きは無視できません。円安局面が続く中、ビットコインを含む暗号資産はインフレヘッジとしての位置づけを強めており、国内の一部ファンドもスポットETFを通じた間接保有を検討し始めています。
$2,000と$2,500——イーサリアムが示す「本物の回復」の条件
今週最も注目すべき水準は、イーサリアムの$2,000〜$2,500のレンジです。
FxProのアナリストは、$2,500と200週移動平均線が「真の回復」を確認するゾーンだと指摘します。$2,000はあくまで「下落を生き延びた」証明に過ぎず、$2,500を超えて初めて「新たなトレンドの始まり」という物語に変わります。2月下旬からこの水準を巡る攻防が続いており、今週の動向がその答えを出す可能性があります。
一方、ソラナの回復には構造的な脆弱性が見られます。SOLはサイクル高値から約55%下落したままであり、2024年の上昇を支えたミームコイン経済の熱狂は消えています。投機的なエンジンを失ったソラナは、エコシステムの実力よりもマクロ感情に依存した動きを続けています。
XRPは3月に入ってから$1.30〜$1.45のレンジに留まっています。Rippleの法的和解による規制の明確化はポジティブ材料ですが、市場全体の方向性から独立した動きは見られません。
3月17〜18日——FRB会合という「次の関門」
停戦期待で一息ついた市場に、次のリスクが迫っています。
連邦準備制度(FRB)の次回会合は3月17〜18日。カークリー氏によれば、ビットコインとS&P500の90日間相関係数は0.78に達しており、これは2022年半ば以来の高水準です。暗号資産が株式と連動して動く局面では、アルトコインはその動きを増幅させます。
もしFRBが「タカ派的なドット・プロット(政策金利見通し)」を示したり、利上げ再開を示唆するような発言があれば、ハイリスク・ハイベータな暗号資産が最も大きな打撃を受けることになります。停戦の朗報が一時的な安堵に終わるか、それとも本格的な回復の起点となるかは、来週のFRB次第という側面が大きいのです。
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