核軍縮の新たな三角関係:米中露の思惑が交錯
ルビオ国務長官が中国の核軍縮協定参加を促すも、中国は消極的。トランプ氏の4月訪中を前に、21世紀の軍備管理はどう変わるのか?
「21世紀の真の軍備管理協定には、中国が参加しなければならない」。マルコ・ルビオ米国務長官のこの発言は、核軍縮をめぐる新たな地政学的現実を浮き彫りにしている。
期限切れした最後の砦
今月5日、世界最後の拘束力ある核軍縮条約である米露間の新戦略兵器削減条約(新START)が期限切れを迎えた。この条約は両国の核弾頭数を1,550発以下に制限し、冷戦終結後の核軍縮の象徴的存在だった。
ロシアは1年間の延長を提案したが、トランプ大統領はこれを拒否。代わりに中国を含む「改善された」三国間協定を提唱している。ルビオ長官は「中国は公然と参加を拒否している」と認めながらも、「世界にとって良いことだから、説得を続ける」と述べた。
中国の計算式
中国が三国間協定に消極的な理由は明確だ。米国防総省の推計によると、中国の核弾頭数は約500発で、米露の1,550発を大きく下回る。現時点での参加は、中国にとって核戦力の拡大を制限される「不平等条約」になりかねない。
北京の視点では、まず米露が核弾頭数をさらに削減し、中国と同レベルまで下げるのが筋だという論理が働く。また、中国は伝統的に「最小限抑止」政策を掲げ、核兵器を先制使用しないと宣言している点も、米露とは異なる戦略文化を示している。
アメリカの新戦略
トランプ政権の三国間協定構想は、単なる軍備管理を超えた戦略的意図を含んでいる。4月の訪中を控え、核軍縮を対中外交の新たなカードとして活用する狙いが見える。
ルビオ長官が「米中関係に戦略的安定性がある」と表現したのも、この文脈で理解できる。長期的な「刺激要因」は残るものの、核軍縮という共通課題を通じて建設的対話を模索する姿勢を示している。
興味深いのは、アメリカが中国を「強制できない」と率直に認めた点だ。これは一方的な圧力ではなく、相互利益に基づく説得が必要だという現実的判断を反映している。
日本への波及効果
日本にとって、この三国間核軍縮交渉は複雑な意味を持つ。一方で、東アジアの核軍縮は日本の安全保障にとって歓迎すべき展開だ。しかし、米中の核バランスが変化すれば、日米同盟の核の傘にも影響が及ぶ可能性がある。
特に注目すべきは、中国の核戦力近代化が続く中で、日本がどのような立場を取るかだ。非核三原則を堅持する日本は、核軍縮推進の立場から三国間協定を支持する一方、同盟国としてのアメリカの戦略的利益も考慮する必要がある。
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