暗号通貨詐欺の内部告発者が明かす現代奴隷制の実態
ラオスの詐欺施設で強制労働させられているインド人エンジニアが、数十億ドル規模の「豚の屠殺」詐欺の内部構造を告発。現代のサイバー犯罪と人身売買の恐ろしい実態とは。
数十億ドル。これが、恋愛と投資を餌にした「豚の屠殺」詐欺が年間で稼ぎ出す金額だ。しかし、この巨大な犯罪産業の背後には、もう一つの恐ろしい真実が隠されている。
WIRED記者のもとに届いた一通の暗号化メールが、東南アジアの詐欺施設の内部を初めて明かすことになった。送信者は自らを「レッドブル」と名乗る若いインド人エンジニア。彼は現在進行形で、ラオスの「黄金の三角地帯」にある詐欺施設で強制労働させられている。
現代の奴隷制度
「もし彼らが私があなたと話していることを知ったら、直接殺されるでしょう」。Signalでの最初の通話で、レッドブルはこう語った。彼の状況は、表面的には企業の営業フロアを模倣しているが、実態は現代の奴隷制度そのものだった。
レッドブルは偽の求人広告に騙され、ITマネージャーとしてラオスで働くと信じて現地に向かった。しかし到着すると、パスポートを中国系の雇用主に没収され、5人の男性と共にドミトリーに押し込められた。労働時間は15時間、インド系アメリカ人をターゲットにするため、現地時間の夜間に働かされる。
月給は3,500人民元(約500ドル)だが、ノルマ未達成などの理由で日々罰金が科され、実質的な収入はほぼゼロ。食事は化学薬品のような味がする米と野菜のみ。1年契約の縛りがあり、数千ドルの違約金を支払わない限り脱出は不可能だった。
詐欺の精巧なメカニズム
レッドブルが提供した内部資料は、詐欺の全工程を詳細に記述していた。偽のFacebookやInstagramプロフィールの作成から始まり、雇われたモデルやAIディープフェイク技術を使って恋愛関係を装う。そして偽の投資プラットフォームに誘導し、被害者の全財産を騙し取る。
施設内では、詐欺が成功するたびに小さなゴングが鳴らされる。まるでゲームのような演出だが、その背後では被害者の人生が破綻し、加害者もまた奴隷状態に置かれている。
レッドブルによれば、規則を破った労働者は殴打や電気ショックを受け、女性スタッフは性的奴隷として売られることもある。同僚が謎の失踪を遂げるケースも珍しくない。
日本への警鐘
現在、この種の詐欺は主に英語圏や中国語圏をターゲットにしているが、日本も例外ではない。高齢化が進む日本では、孤独な高齢者が恋愛詐欺の標的になりやすく、暗号通貨への関心が高まる中で投資詐欺のリスクも増大している。
日本の法執行機関は、国際的な協力体制の強化と、国民への啓発活動の拡充が急務だ。また、日本企業は採用プロセスでの身元確認を徹底し、海外勤務の安全性を保障する責任がある。
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