「引き金に指をかけている」—イラン国境のクルド人戦士たち
イラク北部の山岳地帯に潜むクルド人武装勢力PJAK。米国とイスラエルのイラン攻撃を好機とみる彼らが直面する、解放への夢と裏切りへの恐怖。中東の複雑な現実を現地取材から読み解く。
雪をかぶった山の中に、22年間待ち続けた人々がいる。
イラクとイランの国境付近、標高の高い山岳地帯に刻まれた洞窟の奥で、PJAK(クルディスタン自由生活党)の指導者たちは今、かつてないほど慌ただしい日々を送っている。「引き金に指をかけている」——洞窟の中の照明に照らされた長テーブルを囲み、ペシュメルガ(クルド人戦士)の服装をした男女が語った言葉だ。
洞窟の中の「解放軍」
記者がイラク北部の山中でPJAKの指導者たちと面会したのは今月初旬のことだ。岩盤を掘り抜いた暗い通路を約50メートル歩き、木枠の入り口をくぐると、清潔に整えられた部屋があった。壁には殉教したクルド人戦士たちの写真と、アブドゥッラー・オジャランの大きな肖像画——トルコのクルド人武装組織PKKの創設者であり、現在も獄中にある人物だ。
PJAKは2004年に設立されて以来、イランの体制打倒を目指してきた。フェミニズム、環境主義、地域民主主義という左派的理念を掲げ、男女の戦士が共同生活を営む。午前5時半起床、飲酒禁止、喫煙や恋愛関係も強く戒められる。「私たちは闘争のために自らを犠牲にしていると信じている」と共同議長のペイマン・ヴィヤンは語った。
ドナルド・トランプとベンジャミン・ネタニヤフがイラン国民に対して体制打倒を呼びかけた際、そのメッセージはイランのクルド人少数民族にも向けられていた。欧州に住むイラン系クルド人数百人が過去2か月で中東に帰還し、「祖国解放」に備えている。PJAKをはじめとするクルド人各派は、イラン国内に数千人の「スリーパーセル(潜伏工作員)」を持ち、地上侵攻が始まれば即座に合流できると主張する。
しかし、話はそれほど単純ではない。
「アメリカの戦車に乗って帰る」という烙印
PJAKが抱える最大の矛盾は、米国からテロ組織に指定されていることだ。その理由は洞窟の壁に飾られたオジャランの肖像画が物語っている。PKKとの関係を持つとみなされるPJAKは、トルコにとっても「死に値する敵」だ。
トランプ大統領は3月5日、クルド人のイラン侵攻は「素晴らしい」と発言した。しかしわずか2日後の3月7日、「クルド人にイランへ入ってほしくない」と発言を翻した。理由は明白だ——トルコがホワイトハウスに対して、間接的ながら強い警告を発したとみられる。
クルド人にとって、アメリカの「変心」は今に始まったことではない。6週間前、シリア北東部のクルド人自治区がシリアの新指導者アフマド・アル=シャラアの軍勢に制圧された際、米軍は傍観した。イスラム国との戦いで共に血を流したパートナーへの仕打ちとして、多くのクルド人が「裏切られた」と感じた。
エルビル(イラク北部クルド人自治区の首都)のカフェで会った23歳の女性は、この矛盾を鮮やかに言葉にした。イランを2か月前に脱出したばかりの彼女は、体制の崩壊を誰よりも望んでいた。しかし武装介入については首を横に振った。「クルド人が少しでも動けば、イスラム体制はクルド地域のあらゆる場所を爆撃するでしょう。家族がまだあそこにいるんです」
「爆撃で自由はもたらせない」——72歳の元戦士の言葉
すべてのクルド人が武力侵攻を支持しているわけではない。コマラ党の一派を率いる72歳のアディブ・ワタンドゥストは、1970年代半ばからクルド人の権利運動に身を投じてきたベテランだ。AK-47を肩に担いで山岳地帯を歩き回った日々を経た今、彼の結論は静かだが重い。
「歴史は教えている——爆撃で自由と解放をもたらすことはできない。そうはいかないんだ」
彼はむしろ、イラン国内にいる政治犯、労働組合活動家、投獄されたジャーナリスト、女性たちこそが「本物のリーダーシップ」だと語る。変化は内側から始まるべきであり、ゼネストが広がって体制が統制を失ったとき、初めてペシュメルガが国境を越えて「秩序維持」のために入るべきだという。
「独裁者にとって、戦争は贈り物だ」——彼がそう言ったとき、記者は思わず手を止めた。体制が「この戦争を歓迎した」のは、それが体制の「出口戦略」だったからだ、と彼は言う。
イランのクルド人問題が示す「大きな構図」
中東には少なくとも3000万人のクルド人が暮らし、トルコ、シリア、イラク、イラン、アルメニアの5か国に分散している。独立国家を持たない世界最大の民族集団のひとつだ。
イランのクルド人にとって、自治に最も近づいたのは1946年のソ連支援による「マハバード共和国」だった。しかしソ連軍撤退後、イラン軍に鎮圧されるまで1年も続かなかった。1979年のイスラム革命後も一時的な自治を試みたが、ホメイニー師のジハード宣言によって壊滅した。
2022年、22歳のクルド人女性マフサ・アミニがヒジャブ規制違反で道徳警察に逮捕され死亡した事件は、イラン全土に抗議運動を引き起こした。「ジン・ジヤン・アザディ(女性・生命・自由)」というクルド語のスローガンがイラン全体に広がり、クルド人と非クルド人のイラン人の間に新たな連帯感が生まれた。
しかしその連帯も、「アメリカの戦車に乗って帰ってきた」という烙印の前には脆い。2003年のアメリカのイラク侵攻後に帰還したイラク人亡命者たちへの蔑視と同じ目で見られる可能性を、クルド人指導者たちは十分に理解している。
さらに複雑なのは、イランの「ペルシャ系多数派」との関係だ。前国王の息子レザー・パフラヴィー(65歳)は、クルド人連合の発足に対して「分離主義者」と激しく非難した。「イランの領土的一体性に対する根拠のない軽蔑すべき主張」——彼のX(旧ツイッター)への投稿は、クルド人指導者全員の怒りを買った。
日本にとっての意味
この遠い山岳地帯の出来事が、日本と無関係だと言い切れるだろうか。
イランはホルムズ海峡に隣接する。日本のエネルギー輸入の約9割は中東からの海上輸送に依存しており、ホルムズ海峡の安定は日本経済の生命線だ。イランが内戦状態に陥り、シリア内戦のような難民危機がヨーロッパに波及すれば、トヨタやソニーが生産拠点を置く欧州市場にも影響が及ぶ。
また、少数民族の自治権をめぐる問題は、日本にとっても他人事ではない。アイヌ民族の権利問題、在日コリアンの地位、沖縄の自己決定権——「国家の統一性」と「少数民族の権利」の間の緊張は、形を変えながら日本社会にも存在する。
エルビルの夜空で、記者はイランのドローン攻撃を迎撃するミサイルの閃光を何度も目撃した。花火のような光と音——しかしそれは、何十年もの歴史を背負った人々が今も命をかけて戦っている現実だ。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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