シマノが直面する自転車バブル崩壊の現実
世界最大の自転車部品メーカー・シマノが欧州と中国の在庫過多で苦境に。パンデミック後の需要急減が業界全体に与える影響を分析
堺市のシマノ本社では、経営陣が頭を抱えている。世界の自転車市場の70%のシェアを握る同社が、これほど深刻な在庫問題に直面するのは創業以来初めてのことだ。
パンデミックが生んだ「自転車バブル」の終焉
シマノは2026年3月1日、欧州と中国市場での過剰在庫により業績が悪化していることを発表した。同社の主力市場である両地域で、自転車メーカーが生産を過度に拡大した結果、市場に自転車が溢れかえる状況となっている。
パンデミック初期の2020年から2022年にかけて、外出制限により自転車需要が急激に拡大した。在宅勤務の普及で通勤手段が変化し、健康志向の高まりとも相まって、世界的な「自転車ブーム」が到来。この好況に酔いしれた自転車メーカーは、シマノの制止を振り切って増産を続けた。
需要予測の難しさが露呈
問題の根深さは、単なる在庫過多を超えている。中国では2024年にアウトドアスポーツブームが発生し、さらなる自転車バブルを生み出した。しかし、このブームも短命に終わり、市場には大量の売れ残り自転車が積み上がることとなった。
シマノの技術者たちは、クライアントである自転車メーカーに対して生産調整を求めていた。しかし、好況の波に乗りたい各社は聞く耳を持たず、結果として業界全体が過剰生産の罠にはまった。
日本の製造業が学ぶべき教訓
この状況は、日本の製造業全体にとって重要な示唆を含んでいる。トヨタの「ジャスト・イン・タイム」生産方式が世界に広まった背景には、こうした在庫リスクへの深い理解があった。
自転車価格の下落は既に日本市場にも波及しており、国内の自転車販売店では値下げ競争が激化している。一方で、電動自転車への需要シフトや、高齢者向けの三輪自転車など、新たな市場セグメントも生まれつつある。
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