米国とイランが極秘会談、軍事衝突回避へ最後の外交努力
米イラン関係が緊張する中、オマーンで開催された極秘会談の背景と、両国が直面する選択肢を分析。核問題から地域安全保障まで複雑な利害関係を解説。
6,883人。これは先月イランで起きた反政府デモで確認された死者数だ。この数字が示すのは、イラン政権が直面する深刻な内政危機と、それが引き金となった米イラン間の軍事的緊張の高まりである。
両国の高官が2月6日、オマーンで極秘会談を開始した。トランプ大統領が「イランを爆撃する」と脅し、空母打撃群を中東に派遣する中での、軍事衝突回避に向けた最後の外交努力と見られる。
会談の背景:1979年以来最も弱体化したイラン政権
今回の会談は、イラン政権が1979年のイスラム革命以来最も脆弱な状況に置かれている中で実現した。経済危機が引き金となった大規模デモは、単なる抗議を超えて「イスラム共和制の終結」を求める声に発展。ワシントンに拠点を置く人権活動家ニュース機関によると、50,000人以上が逮捕され、実際の死者数はさらに多い可能性があるという。
米国側の交渉団はスティーブ・ウィトコフ特使が率い、イラン側はアッバス・アラグチ外相が指揮を取る。しかし、両国の立場は依然として大きく隔たっている。
米国は核開発の凍結と400キログラムの濃縮ウランの廃棄を要求し、さらに弾道ミサイル計画、地域武装組織への支援、国民への弾圧についても議題に含めるよう主張している。
一方、イランは議論を核問題に限定すると表明し、ミサイル計画や「抵抗の軸」と呼ぶ地域同盟(ハマス、ヒズボラ、フーシ派など)への支援停止要求を「主権の侵害」として拒否している。
日本への影響:エネルギー安全保障と地域安定
この危機は日本にとっても重要な意味を持つ。中東からの石油輸入に依存する日本経済にとって、ペルシャ湾の安定は死活問題だ。軍事衝突が発生すれば、ホルムズ海峡の封鎖リスクが高まり、エネルギー価格の急騰が予想される。
トヨタやソニーなど、グローバルサプライチェーンを持つ日本企業も、地域の不安定化による物流混乱や原材料価格上昇の影響を受ける可能性がある。特に半導体関連企業にとって、中東情勢の悪化は既に逼迫している供給網にさらなる圧力をかけることになる。
交渉の行方:限られた選択肢
会談の成功可能性は不透明だ。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は「適切な環境が存在する限り、公正で公平な交渉」を追求するよう指示したが、制裁解除を求めるイランと、包括的な譲歩を要求する米国の間には大きな溝がある。
地域諸国は米国の軍事行動が長期的な混乱を招くことを懸念し、空爆だけではイラン指導部を倒せないと警告している。一方で、政権反対派は制裁緩和が宗教指導者たちに「生命線」を与えることになると主張している。
マルコ・ルビオ国務長官は「意味のある成果」のためには核問題を超えた議論が必要だとしながらも、「彼らと合意に達することができるかわからないが、可能性を探ることに害はない」と述べた。
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