銃口の先にいる市民たち:イランの今
米国・イスラエルとの戦争が始まって12日。イラン当局は「街に出れば敵とみなす」と国民に警告。1,250人以上が死亡し、インターネットは遮断された国で、何が起きているのか。
「街に出れば、敵とみなす。」
これは戦時下の敵国に向けた言葉ではありません。イラン警察長官が、自国民に向けて発した警告です。
何が起きているのか
2026年3月12日現在、イランは米国とイスラエルによる軍事作戦の開始から12日目を迎えています。イラン当局の発表によれば、この戦争で死亡した1,250人以上のほとんどは民間人だといいます。一方、イスラエル軍は「軍人および司令官を1,900人以上殺害した」と主張しており、民間人の被害については公式コメントを出していません。
首都テヘランでは、昼夜を問わず装甲車と覆面をした治安部隊が街を巡回しています。イスラム革命防衛隊(IRGC)の準軍事組織であるバシジは、警察署や軍施設の近くに重武装の検問所を設置。モスクでは、突撃ライフルを手にした兵士たちが「米国とイスラエルへの報復」を叫んでいます。
今週、テヘラン東部では走行中の車両が昼間に爆破され、民間人4人が死亡しました。さらに、IRGCが管理する口座を持つセパフ銀行の行政棟がミサイル攻撃を受け、深夜まで残業していた行員に多数の死傷者が出たと現地メディアは伝えています。この攻撃を受け、IRGCは「中東全域の米国・イスラエルの銀行および経済的利益を攻撃対象に加える」と宣言しました。
「敵」と呼ばれる自国民
戦争と同時に進行しているのが、国内の情報統制です。イラン政府は12日間にわたり、ほぼ完全なインターネット遮断を実施。2か月前に起きた全国規模の抗議運動の際にも20日間の完全遮断が行われており、国連と国際人権団体は当時の治安部隊による「平和的デモへの弾圧」を強く非難しています。
警察長官のアフマド・レザー・ラダン氏は国営テレビでこう述べました。「もし誰かが敵の意志に従って街に出るなら、我々は彼らを抗議者とは見なさない。敵とみなし、敵に対するのと同じことをする。」部隊員たちは「革命を守るため、引き金に指をかけて準備ができている」とも付け加えました。
国営テレビもまた、この緊張を高める方向で機能しています。女子サッカー代表チームの選手たちが抗議として国歌斉唱を拒否すると、キャスターは彼女たちを「裏切り者」と呼びました(その後、複数の選手はオーストラリアに亡命しています)。別のキャスターは、米国在住の旧王政支持者レザー・パフラヴィー氏の支持者を含む「グローバルな傲慢さと自由主義」を支持するイラン人に対し、「財産没収どころではない、母親を喪に服させてやる」と脅迫しました。
「解放」か「占領」か:外から見えるもの
ドナルド・トランプ米大統領とベンヤミン・ネタニヤフイスラエル首相は、47年続くイランの神政体制の打倒を明言しています。ネタニヤフ首相はイラン国民に向けて「アヤトラたちとその手下は逃げ惑っている。臆病者たちに隠れ場所はない。数日以内に、あなたたちが自らの運命を掴む条件を整える」と語りかけました。
イスラエル軍はファルシ語(ペルシャ語)のスポークスパーソンを通じて、若いバシジ隊員の母親たちに「息子たちに武器を置かせれば、空爆から救える」というビデオメッセージを発信しています。これは軍事的な圧力と並行して進む、心理戦・情報戦の一環です。
こうした「解放の言語」は、イランの外ではどう受け取られているのでしょうか。支持者からすれば、抑圧された民衆への連帯です。しかし批判的な視点からは、外国勢力による政権転覆の試みであり、イラン国民が自ら選ぶ権利を侵害するものとも映ります。実際、国連や多くの国際機関は、民間人への被害や病院・学校・歴史的建造物への攻撃について深刻な懸念を示しています。
日本にとって、この紛争は対岸の火事ではありません。イランは日本の主要なエネルギー供給ルートであるホルムズ海峡に近接しており、中東情勢の不安定化は原油・LNG価格の変動を通じて、日本の製造業やエネルギーコストに直接影響します。トヨタやソニーなど輸出依存度の高い企業にとっても、地政学リスクの高まりは無視できない要素です。
これから何が起きるのか
イスラエル軍は今後、バシジ部隊の下位レベルをより直接的に標的にする段階に移行する可能性を示唆しています。テヘランでは今週も複数の空爆が報告されており、戦闘の終結は見通せません。
イラン当局は国内の支持者を結集させながら、反体制的な動きを力で封じ込めようとしています。しかし2か月前の大規模抗議運動が示したように、「銃口」だけで民心を完全に制御することには限界があります。インターネット遮断が続く中、イランの9,000万人以上の市民が何を考え、何を選ぼうとしているのか、外の世界には届きにくい状況が続いています。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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