倉庫に「好奇心」を持つAIが4000万ドル調達、ロボットが人間の仕事を奪う日
Gather AIが4000万ドル調達。倉庫でドローンとカメラが「好奇心」を持ってデータ収集し、在庫管理を自動化。日本の物流業界への影響は?
4000万ドル。これが、倉庫で働く「好奇心旺盛な」AIに投資家が賭けた金額だ。
Gather AIが今回調達したシリーズB資金は、元セールスフォース共同CEOのキース・ブロック氏が率いるスミス・ポイント・キャピタル主導で実現した。同社のAIは、フォークリフトに取り付けたカメラやドローンを使って倉庫内を監視し、在庫の問題を予測する。しかし、ただ監視するだけではない。AIが「好奇心」を持って行動するのだ。
「好奇心」を持つAIとは何か
カーネギーメロン大学で博士号を取得した4人の創業者は、2017年にGather AIを設立する前、FBIの訓練場で自律ヘリコプターのテストを行っていた。その経験を活かし、彼らが開発したのは「好奇心」を持つAIシステムだ。
共同創業者でCEOのサンカルプ・アローラ氏は「私の博士研究は、さまざまな飛行ロボットに好奇心を持たせる方法に焦点を当てていました」と説明する。「彼らは箱やバーコード、ワークフローに好奇心を持つのです」
このAIは、バーコードだけでなく、ロット番号、テキスト、有効期限、ケース数、損傷、占有状況など多様な情報を収集する。目的は在庫不足、商品の置き間違い、安全上の問題を引き起こす可能性のあるワークフローを発見・予測することだ。
重要なのは、この技術が大規模言語モデル(LLM)の時代より前に構築されたことだ。「エンドツーエンドのニューラルネットワークではありません」とアローラ氏は説明する。「古典的なベイズ手法とニューラルネットワークを組み合わせたものです」
日本の物流業界が直面する現実
日本では労働力不足が深刻化している。厚生労働省の統計によると、物流業界の有効求人倍率は2.5倍を超え、慢性的な人手不足に陥っている。Amazonや楽天などのEコマース拡大により、倉庫作業の需要は増加し続けているが、働き手は足りない。
Gather AIのような技術は、この問題の解決策となり得る。現在、同社の顧客にはKwik Trip、Axon、GEODIS、NFI Industriesが含まれる。約60人の従業員を抱え、今回の資金調達により総調達額は7400万ドルに達した。
日本企業も物流自動化に積極的だ。トヨタの物流子会社や日本通運は既にロボティクス技術を導入している。しかし、Gather AIのような「好奇心」を持つAIは、単純な作業自動化を超えた次元の効率化を可能にする。
「エンボディドAI」の時代へ
Gather AIは「エンボディドAI」と呼ばれる分野の最前線にいる。これは、チャットボットやウェブアプリではなく、現実世界で物理的に動作するロボットのことだ。同社は2024年12月、Nebius(オランダのAIインフラ企業)から2025年ロボティクス賞のビジョンAI部門を受賞した。
ベイズ手法を使用することで、LLMの「幻覚」問題を回避できる。確率ベースの手法により、AIは過去のデータと事前知識を基に意思決定を行い、より信頼性の高い結果を提供する。
日本の製造業は精密性と品質管理で世界をリードしてきた。Gather AIのような技術は、その伝統を物流分野でも実現する可能性を秘めている。冷凍倉庫など人間にとって厳しい環境でも動作するため、食品物流が重要な日本市場には特に適している。
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