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核融合発電は本当に「安く」なるのか?
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核融合発電は本当に「安く」なるのか?

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核融合発電のコスト低下速度が太陽光や蓄電池より遅い可能性を示す研究がNature Energyに掲載。巨額の公的・民間投資は本当に正当化されるのか、エネルギー政策の根本を問い直す。

「核融合は常に30年先の技術だ」——そう皮肉られてきたエネルギー技術が、今や数十兆円規模の投資を集めている。しかし、仮に核融合発電が実現したとしても、それは「安い電気」をもたらすのだろうか?

太陽光とは違う「コスト低下の速度」

技術は普及するにつれて安くなる。これは多くの産業で観察されてきた法則だ。リチウムイオン電池は2013年と比べて約90%も価格が下がり、太陽光パネルも急速に低コスト化した。では核融合はどうか。

学術誌 Nature Energy に掲載された新しい研究が、この問いに正面から向き合った。ETHチューリッヒのエネルギー・技術政策グループに所属するPhD候補生、唐凌希(リンシー・タン)氏らの研究チームは、「経験率(エクスペリエンス・レート)」という指標を用いて核融合のコスト予測を試みた。

経験率とは、ある技術の導入容量が2倍になるたびにコストが何%下がるかを示す数値だ。数値が高いほど、普及とともに急速に安くなることを意味する。過去のデータを見ると、陸上風力は12%、リチウムイオン電池は20%、太陽光モジュールは23%という経験率を持つ。一方、原子力(核分裂)はわずか2%にとどまる。

研究チームが核融合の専門家たちにインタビューを重ねて導き出した答えは、2%〜8%という数値だった。核分裂よりは速いが、太陽光や蓄電池のような急激な価格低下は期待しにくい、という結論だ。

なぜ核融合のコストは下がりにくいのか

理由は技術の性質そのものにある。研究チームは「ユニットの大きさ」「設計の複雑さ」「カスタマイズの必要性」という3つの要素が経験率と相関することを示した。

核融合炉は石炭火力や核分裂炉と同様に熱を利用する大型施設になると予想される。設計の複雑さについては「核融合は信じられないほど複雑だという点で、専門家の意見はほぼ一致していた」とタン氏は述べており、一部の専門家は「評価スケールの範囲を超えている」とさえ表現した。

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カスタマイズの必要性は核分裂炉よりは低いとされるが、太陽光パネルのように標準化しやすい技術とは大きく異なる。これらの要素が組み合わさり、コスト低下のペースを抑制する。

10億ドル超の投資は正当化されるか

この研究が問いかけるのは、技術的な話にとどまらない。米国は2024会計年度に核融合研究に10億ドル以上の公的資金を投じており、民間投資は2024年7月から2025年7月の1年間だけで22億ドルに達した。

「エネルギーシステムの脱炭素化を目指すなら、これが本当に公的資金の最善の使い道なのか、問い直す必要がある」とタン氏は指摘する。現在多くのモデル研究が想定する8%〜20%という経験率と比べて、今回の予測は大幅に低い。それは、核融合発電が長期にわたって高コストな電源にとどまる可能性を示唆している。

日本にとっても、これは他人事ではない。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)はITER(国際熱核融合実験炉)プロジェクトに深く関与しており、日本政府も核融合を将来のエネルギー戦略の柱の一つと位置づけている。もし核融合電力が長期間にわたって高コストであり続けるなら、電力料金の高さに悩む日本の産業界や家庭への影響は小さくない。

「過去から未来を読む」ことの限界

もちろん、反論もある。プリンストン・プラズマ物理学研究所の教授、エゲメン・コレマン氏は「有益な試みだが、私たちがどれだけ知らないかについて謙虚であるべきだ」と述べる。

2000年代初頭、多くのアナリストは太陽光発電が長期にわたって高コストにとどまると予測した。しかし中国が生産に全力投球したことで、価格は劇的に崩落した。「当時の予測が完全に間違っていたわけではない。ただ、見えていたものを未来に延長しただけだった」とコレマン氏は言う。

コスト低下の速度は、規制の枠組み、地政学的な動態、そして労働コストにも左右される。核融合炉はまだ建設されていない。実際に作ってみて初めてわかることも多い、というのが現実だ。

この議論が持つもう一つの含意として、研究が対象としたのは磁気閉じ込め方式レーザー慣性閉じ込め方式の2種類に限られている点も忘れてはならない。他のアプローチ——たとえば民間企業が独自に開発を進める新型炉——は異なるコスト構造を持つ可能性がある。

本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。

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