元米空軍パイロット、中国軍への訓練で逮捕
24年間の軍歴を持つ元F-35パイロットが中国人民解放軍への無許可訓練で逮捕。日米安保への影響は?
「ランナー」というコールサインで知られた65歳の元米空軍少佐が、中国から帰国直後に逮捕された。ジェラルド・エディ・ブラウン・ジュニア容疑者は、米国の最新戦闘機を操縦していた経験を持ちながら、3年間にわたって中国人民解放軍空軍のパイロットを無許可で訓練していたとされる。
信頼されていた軍人の裏切り
ブラウン容疑者は24年間の空軍勤務で核兵器運搬システムの指揮や戦闘任務を担当し、退役後は米国防契約業者の教官としてA-10やF-35戦闘機の訓練に従事していた。まさに米軍の最高機密に触れる立場にいた人物だった。
米司法省によると、容疑者は2023年から2026年まで中国に滞在し、国務省の許可なく中国軍パイロットに「防衛サービス」を提供していたという。これは武器輸出管理法(AECA)と国際武器取引規則(ITAR)に違反する行為だ。
日本の防衛体制への波紋
今回の事件は、日本の安全保障にも深刻な影響を与える可能性がある。F-35は日本も導入を進める最新鋭戦闘機であり、その技術情報が中国側に流出していた可能性は否定できない。
特に注目すべきは、容疑者が関与していたA-10攻撃機の訓練内容だ。この機体は対地攻撃に特化しており、台湾有事の際に中国軍が想定する作戦に直結する技術でもある。日本の防衛省は、米軍との情報共有体制の見直しを迫られる可能性が高い。
軍事技術流出の新たなパターン
この事件が示すのは、従来のスパイ活動とは異なる新しい技術流出のパターンだ。国家機密を盗み出すのではなく、退役軍人の専門知識そのものを「商品」として提供する手法が浮き彫りになった。
中国は近年、西側諸国の軍事専門家を高額報酬で招聘する戦略を展開している。ブラウン容疑者のケースは氷山の一角に過ぎない可能性があり、他の退役軍人も同様の誘いを受けている恐れがある。
日本の自衛隊OBも、退役後の生活保障や専門知識の活用先として、海外からの誘いを受ける機会が増えている。防衛省は退役者への継続的な注意喚起と支援体制の構築が急務となっている。
記者
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