機関投資家が買い続けても、ビットコインが上がらない理由
ETFや大手機関が月9.4万BTCを購入しても、全体需要はマイナス6.3万BTC。5つのオンチェーン指標が示す「内側から薄れるビットコイン市場」の構造を読み解く。
世界最大の買い手たちが、かつてないペースで買い続けている。それでも、相場は上がらない。
2026年3月、ビットコインETFは過去30日間で約5万BTCを購入した。Strategy(旧MicroStrategy)はさらに4.4万BTCを積み増した。合計9.4万BTC——これは2025年10月以来、最大規模の機関投資家による月間買い付けだ。
にもかかわらず、CryptoQuantのデータが示す30日間の「見かけ上の純需要」はマイナス6.3万BTCだった。つまり、機関投資家が9.4万BTC買っても、市場全体ではそれを上回る売りが出ている。計算すると、残りの市場参加者——リテール投資家、古参クジラ、マイナー、各種ファンド——が同期間に約15.7万BTCを売却したことになる。
「内側から薄れる」市場の5つの証拠
これは単なる一指標の話ではない。独立した5つのデータソースが、同じ方向を指している。
クジラの大転換。1,000〜1万BTCを保有する大口ウォレット群は、かつて市場最大の「買い手」だった。1年前、これらのウォレットは合計で20万BTCを積み増していた。現在は逆に18.8万BTCを手放している。わずか18ヶ月で、蓄積から分配へ、約40万BTC規模の方向転換が起きた。CryptoQuantはこれを「記録的な分配サイクルの一つ」と表現している。
中規模ホルダー(100〜1,000BTC)はまだ買い越しだが、そのペースは2025年10月以降60%以上急減した。年間100万BTC近い積み増しから、今は42.9万BTCにまで落ち込んでいる。
実現価格との縮小するギャップ。現在のビットコイン価格(6.7〜6.8万ドル台)は、「実現価格」(ネットワーク上の全コインの平均取得コスト)である5.4万ドルをわずか21%上回るだけだ。2024年末、価格が11.9万ドルを超えていた頃、このプレミアムは約120%あった。15ヶ月で120%から21%へ——急速な圧縮が進んでいる。
歴史的には、スポット価格が実現価格を下回ったとき(2022年6〜10月がそれにあたる)がサイクルの底だった。現在はまだそこに達していないが、差は急速に縮まっている。
感情指標と資金流入の奇妙な乖離。「恐怖・強欲指数」は過去1ヶ月、8〜14という「極度の恐怖」圏に張り付いている。しかし同時に、ビットコインETFは3月だけで10億ドル超の純流入を記録した。通常、機関資金の流入は市場センチメントを改善するはずだ。だが今は、機関が買っても市場全体の信頼感は回復していない。
Coinbaseプレミアム指数——Coinbaseでのビットコイン価格が他取引所より高いか低いかを示す、米国機関投資家の食欲のバロメーター——は、2025年10月の史上最高値(12.6万ドル超)以降、一貫してマイナスで推移している。価格が6.5〜7万ドル台まで下落しても、米国の買い手は大規模に戻ってきていない。
地政学ノイズとしての価格行動。過去5週間、ビットコインは6.5〜7.3万ドルのレンジで膠着している。イラン情勢の緊張が高まるたびに下落し、緩和の兆しが見えるたびに反発する。月曜日に停戦期待で株式市場が4%上昇すれば連動して上がり、水曜日にトランプ大統領がイランへの強硬姿勢を示せば売られる。
このパターンが繰り返される中で、市場参加者の間で支配的な戦略は「ポジションを持たないこと」になりつつある。それが需要データに「パニック売りではなく、静かな撤退」として現れている。
今回の下落は「以前とは違う」
2025年10月の史上最高値(12.6万ドル超)からの下落率は現在約47%。2013年や2017年のピーク後に起きた84〜87%の暴落と比べると、大幅に緩やかだ。
Fidelity Digital Assetsのアナリスト、ザック・ウェインライトは「ビットコインの成長はより衝動的でなくなっている」と指摘する。AdLunamの共同創業者ジェイソン・フェルナンデスは「50%程度の調整は、市場構造の成熟を示している。流動性が深まり機関参加が増えるにつれ、上下両方向のボラティリティが自然に圧縮される」と述べる。
この「成熟」という解釈が正しければ、今回のサイクルは過去のような「暴力的な底打ち」では終わらないかもしれない。底は、静かに、長く、じわじわと訪れる可能性がある。
相場を変えうる2つの触媒
近い将来、需要構造を変えうる動きが2つある。
一つは、Morgan Stanleyが今週、手数料0.14%(カテゴリー平均より0.11%低い)のビットコインETFの認可を受けたこと。このETFは、これまでビットコインETFに直接アクセスできなかった1万6,000人のファイナンシャルアドバイザーと、彼らが管理する6.2兆ドル規模の資産へのチャネルを開く。
もう一つは、Strategyの優先株「STRC」が安定した資金調達源として機能し始めていること。これが毎月の4.4万BTC積み増しを支えており、もし規模が拡大すれば、持続的な買い圧力の新たな源泉となりうる。ただし、これは依然として一社が運営するレバレッジドなビットコイン戦略であることに変わりはない。
CryptoQuantは、イラン情勢が緩和した場合の短期的な反発目標として7.15〜8.12万ドルを示している。しかし現在のビットコインはこの両レベルを下回って取引されており、これらはむしろ「ベアマーケットラリーの天井」として機能してきた水準だ。
5つのデータソースが一致して示すのは、ビットコイン市場の需要構造が「内側から薄れている」という事実だ。現在のレンジの底が崩れるかどうかは、ETF、Strategy、そして新たなMorgan Stanleyチャネルが、残りの市場が手放そうとしている供給を吸収し続けられるかどうかにかかっている。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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