ヨーロッパの戦略的自立は可能か?トランプ復帰で再燃する議論
トランプ大統領の復帰とウクライナ戦争を背景に、ヨーロッパの戦略的自立論が再浮上。しかし現実的な課題は山積している。
ドナルド・トランプ氏の大統領復帰が決まった瞬間、ブリュッセルの欧州委員会本部では、ある議論が再び活発になった。「ヨーロッパの戦略的自立」という、過去何度も浮上しては消えていったテーマである。
アメリカ依存からの脱却論が再燃
NATO創設から75年。ヨーロッパ諸国は長らくアメリカの核の傘と軍事力に依存してきた。しかし、ウクライナ戦争の長期化とトランプ政権の復活により、この構図に疑問符が付き始めている。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「ヨーロッパは自らの運命を自分で決められるようになるべきだ」と繰り返し主張してきた。ドイツでも、国防費をGDP比2%以上に引き上げる議論が本格化している。
しかし、現実はそう簡単ではない。ヨーロッパ連合(EU)全体の国防費は年間約2700億ユーロ(約43兆円)だが、これはアメリカの国防予算8500億ドル(約130兆円)の半分以下である。
日本への示唆と課題
日本にとって、この議論は決して他人事ではない。自衛隊の装備の多くはアメリカ製であり、日米安全保障条約という枠組みも、本質的にはヨーロッパと同様の構造を持っている。
岸田文雄首相は防衛費をGDP比2%に引き上げる方針を示しているが、これはまさにヨーロッパが直面している課題と重なる。独自の防衛産業基盤をどう構築するか、同盟関係を維持しながらどう自立性を高めるかという問題である。
三菱重工業や川崎重工業といった日本の防衛産業企業も、この流れを注視している。ヨーロッパが戦略的自立を進めれば、防衛技術協力の新たな機会が生まれる可能性があるからだ。
理想と現実の間で
ヨーロッパの戦略的自立には、いくつかの根本的な課題がある。まず、27の加盟国を持つEUでの意思決定の複雑さ。ポーランドやバルト三国はロシアの脅威を直接感じており、アメリカとの関係維持を重視する。一方、フランスやドイツは、より独立的な路線を模索している。
技術面でも課題は大きい。最新の戦闘機開発プロジェクト「FCAS」(Future Combat Air System)は、フランス、ドイツ、スペインの共同事業だが、技術的な主導権をめぐる対立で進展が遅れている。
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