2万円のドローンが1億円のミサイルを無力化する時代
イラン製シャヘド136ドローンが湾岸諸国の防空システムを圧倒。低コストドローンが高価な迎撃システムを消耗させる新たな戦争の経済学とは。
941機のドローンが検知され、そのうち65機が着弾した。アラブ首長国連邦が火曜日に発表したこの数字は、現代戦争の新たなパラダイムを物語っている。
貧者の巡航ミサイルが変える戦場
イスラエル・米国によるイラン攻撃の報復として、ペルシャ湾岸諸国の上空に響く音がある。ウクライナの兵士たちが恐れるあの不吉な唸り声——シャヘド136「神風」ドローンの接近音だ。
一見すると、このドローンは最先端兵器と比べて見劣りする。アナリストたちが「貧者の巡航ミサイル」と呼ぶのも無理はない。全長3.5メートル、翼幅2.5メートル。製造コストは2万円から5万円程度とされる。
しかし、この「安物」が、3億円から12億円もする迎撃ミサイルを消費させている現実がある。
数の論理が覆す軍事バランス
戦略国際問題研究所のパトリシア・バジルチク氏は指摘する。「シャヘド136は、ロシアやイランのような国家に、不釣り合いなコストを敵に押し付ける安価な手段を提供した」
その仕組みは単純だ。大量のドローンで防空システムを飽和させ、高価な迎撃ミサイルを消耗させる。そして防空網に穴が開いたところで、本命の弾道ミサイルを撃ち込む。
米軍当局によると、イランは水曜日時点で2000機以上のドローンを発射している。しかも、イランは週に数百機を製造可能とされる大規模な備蓄を持つ。
大西洋評議会のホセ・ペラヨ氏は警告する。「湾岸諸国は、迎撃ミサイルをより慎重に使わない限り、備蓄を枯渇させるリスクがある」
日本の防衛産業への示唆
この「コスト逆転」現象は、日本の防衛産業にも重要な示唆を与える。従来の高価で精密な防衛システムが、安価な大量攻撃の前では限界を露呈しているからだ。
実際、ウクライナは戦闘機の機関砲でドローンを撃墜する手法や、より安価な大量生産型迎撃機の開発を進めている。ペンタゴンと少なくとも一つの湾岸諸国政府は、このウクライナ製の安価な迎撃機の購入について協議中だという。
三菱重工業や川崎重工業といった日本の防衛関連企業も、この新たな脅威に対応する技術開発を迫られることになるだろう。レーザー兵器や電子戦システムなど、従来のミサイル迎撃とは異なるアプローチが求められている。
戦争の経済学が変わる時
興味深いことに、米軍は今回の攻撃で、イラン製ドローンを逆設計した自国版の使用を初めて実戦で確認した。技術の「民主化」が進む現代において、先進国の軍事的優位性も相対化されつつある。
中東の軍事専門家マイケル・コネル氏は語る。「シャヘド136は非常に効果的であることが証明されたため、米国がそれを逆設計し、イランの標的に対して独自バージョンを展開している」
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