米国立がん研究所、イベルメクチンのがん治療研究に連邦予算投入
トランプ政権下で米国立がん研究所がイベルメクチンのがん治療効果を研究開始。科学的根拠なき決定の背景と医学界への影響を分析
47億円。これは米国立がん研究所(NCI)の年間予算のわずか一部だが、今その使い道が医学界に波紋を広げている。トランプ政権が任命した新所長アンソニー・レタイ氏が1月30日、連邦予算を使ってイベルメクチンのがん治療効果を研究すると発表したのだ。
イベルメクチンは本来、寄生虫駆除薬として開発された安価な薬剤である。新型コロナウイルス感染症のパンデミック中、一部の医師グループが治療薬として推奨したが、複数の大規模臨床試験で効果は否定されている。そして現在まで、がん治療に効果があるという科学的証拠は存在しない。
政治が科学に介入する構図
この決定の背景には、反ワクチン活動家として知られるロバート・F・ケネディ・Jr保健長官の影響がある。ケネディ氏自身、脳に寄生虫がいたと公言している人物だ。現政権下では、従来の医学界では「フリンジ(周辺的)」とされてきた人々が要職に就いている。
レタイ氏の任命自体も異例だった。通常、NCI所長は長期間の選考プロセスを経て決定されるが、彼は昨年9月に突然任命された。がん研究者としての経歴はあるものの、今回の発表は医学界を困惑させている。
大規模臨床試験では、イベルメクチンの新型コロナ治療効果は一貫して否定されてきた。英国の研究では1万7千人を対象とした試験で効果なし、ブラジルでは1万4千人規模の試験で同様の結果が出ている。
日本の医学界への波及効果
日本でも、この動きは注目されている。日本癌学会や日本臨床腫瘍学会の関係者は、「科学的根拠に基づかない研究への予算配分」に懸念を表明している。特に、日米の医学研究協力が活発な中、米国の方針転換が日本の研究方向性にも影響を与える可能性がある。
武田薬品工業や第一三共など、がん治療薬開発に注力する日本企業にとっても、米国の研究動向は重要だ。根拠のない治療法が注目を集めることで、本来有望な治療法開発への投資や注目が分散される恐れがある。
一方で、一部の医師は「既存薬の新たな用途を探る研究自体は意義がある」と指摘する。実際、多くの薬剤が当初の用途とは異なる疾患に効果を示すことがある。問題は、科学的仮説なしに政治的判断で研究が決定されることだ。
科学的独立性への挑戦
この問題は、政治と科学の関係について根本的な疑問を提起している。研究予算の配分は、科学的メリットに基づくべきか、それとも政治的判断も考慮すべきか。
医学研究の歴史を振り返ると、政治的圧力が科学的判断を歪めた例は数多い。1950年代のリセンコ事件(旧ソ連で政治的に支持された疑似科学)から、近年の気候変動研究への政治介入まで、科学の独立性は常に脅威にさらされてきた。
現在の状況で特に懸念されるのは、限られた研究予算の配分である。がん研究には膨大な資金が必要で、効果の見込めない研究に予算を割くことは、他の有望な研究機会を奪うことを意味する。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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