中国の軍事演習「正義の使命2025」と台湾のシリコンシールド 2026年の現状
2026年元旦、中国の軍事演習「正義の使命2025」が続く中、台湾市民は冷静さを保っています。TSMCによるシリコンシールドへの信頼と、繰り返される威嚇への慣れが交錯する現地のリアルをレポートします。
演習の砲声が響く海をよそに、台北の街角では普段通りの日常が流れています。中国軍が台湾周辺で大規模な実弾演習を実施するなか、市民たちは美容室で髪を切り、新年の準備に追われていました。アルジャジーラによると、今回の演習は「正義の使命2025」と名付けられ、米国による110億ドル規模の武器売却への対抗措置とされていますが、台湾の人々の反応は驚くほど冷静です。
中国の軍事演習「正義の使命2025」と日常生活の乖離
台湾当局の発表によると、防空識別圏(ADIZ)への進入件数は急増しています。2021年11月にはわずか41件だった進入数は、2025年11月には266件へと跳ね上がりました。しかし、台北市内の美容室にいた70代の女性は「70年間ずっと台湾に住んでいて、こういうことには慣れている」と語り、株価が200ポイント上昇したことを根拠に、直近の開戦リスクは低いとの見方を示しています。この「慣れ」は、繰り返される威嚇が生んだ副産物とも言えるでしょう。
「シリコンシールド」としてのTSMCへの絶大な信頼
多くの市民が自信を持つ背景には、世界最大の半導体受託製造企業であるTSMC、現地で「護国神山」と呼ばれる存在があります。これは「シリコンシールド(半導体の盾)」とも称され、中国を含む世界経済がTSMCの高度なチップに依存している限り、武力侵攻は双方に壊滅的な打撃を与えるため不可能だという論理です。実際、今回の演習中も台湾の株式市場は底堅く推移しており、経済的な安定が市民の精神的な支えとなっています。
平穏の裏に潜む不安と政治的対立
一方で、表面的な平穏の裏では不安も確実に広がっています。ブルッキングス研究所の調査によれば、中台戦争を懸念する人の割合は2021年の約57%から、現在は約65%に上昇しました。また、台湾国内では与党・民主進歩党(民進党)と野党・中国国民党の間で、対中政策を巡る対立が深刻化しています。最近では台北市内での殺傷事件やマグニチュード7.0の地震も発生しており、重なる緊張が若年層を中心に心理的な疲弊を招いています。
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