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赤く塗られた日本地図を5つの虫眼鏡が囲み、それぞれ異なる場面を映しています。下向きの矢印の下で減っていく旅行者、集まってくる旅行者、硬貨が積まれた財布、空いたホテルの客室、分かれていく航空路線です。
経済AI分析

訪日中国人、1〜8月で380万人減 同じ統計に五つの問い

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今年1~8月、訪日中国人が380万人減った。同じ統計を韓国は「誰が取り込んだか」、日本は「総数は持ちこたえたか」、台湾は「初めてか」、中国は「なぜ行かないか」、英語圏は「圧力は効いたか」と読む。同じ統計、五つの問い。

日本観光の「一番のお客さま」が、3番手に下がりました。

日本政府観光局(JNTO)が9月16日に発表した推計によると、今年1〜8月に日本を訪れた中国人は290万4600人でした。前年同期の671万1851人から56.7%減っています。1〜8月の累計で、前年より約380万人少ない計算です。前年同期に1位だった中国は、韓国と台湾に抜かれて3位になりました。

中国が自国民に日本への渡航を控えるよう初めて呼びかけてから、10か月がたちました。昨年11月、高市早苗首相が台湾をめぐって国会で答弁した直後のことです。同じ趣旨の注意喚起は、その後さらに3回掲載されています。

数字は一つでも、読み方は五通りあります。ソウルの経済紙が読み取るのは「逆転」です。7月に韓国を訪れた中国人が、日本を訪れた中国人を上回ったというのです。東京の放送局は、韓国など14の国・地域からの訪問者が8月として過去最多だったと伝えます。台湾のある新聞は今年5月、「台湾・韓国が穴を埋めた」という趣旨の見出しを掲げました。中国の注意喚起の文書と国営メディアが語るのは、日本の治安への不安と、冷え込んだ旅行熱です。英語圏のアナリストは、また別のことを問うています。中国の圧力は効いたのか、という問いです。

五つの読み方は、いずれも事実に基づく数字から出発しています。投げかける問いが違うだけです。この記事は五つの読み方を並べ、判断は読者の皆さんに委ねます。

1枚の統計表

まず、1枚の表を見てみましょう。JNTOの8月推計値から、主な市場だけを抜き出しました。

国・地域2025年8月2026年8月増減率2026年1〜8月累計増減率
総数342万8406人309万8900人−9.6%2762万6300人−2.7%
韓国66万917人85万500人+28.7%742万300人+21.2%
中国101万8747人41万8000人−59.0%290万4600人−56.7%
台湾62万753人66万6000人+7.3%540万2000人+19.8%
香港22万6069人24万7300人+9.4%181万8300人+8.7%

出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」(2026年9月16日)。2026年は推計値、2025年は確定値。増減率は前年同期比。

この1枚の表に、五つの読み方が使う材料がすべて入っています。

中国からの訪日客は、8月の1か月だけで60万人以上減りました。減少率は59.0%です。訪日外国人全体も減っています。8月の訪日客は309万8900人で、前年同月を9.6%下回りました。JNTOの報道発表資料のタイトルからして「8月:前年同月比9.6%減の310万人」です。

同じ資料の冒頭には、別の事実も書かれています。「韓国、マレーシア、メキシコなど14市場で8月として過去最高を記録した」という記述です。台湾、香港、米国もこの14市場に入っています。韓国は85万500人と8月として過去最高を記録し、8月の訪日客数で首位の市場になりました。1か月前の7月には、訪日客全体が344万2100人と、前年同月を0.1%上回っていました。4か月ぶりの増加でした。それが8月には、再び減少に転じています。

期間を広げると、見え方がまた変わります。1〜8月の累計では、訪日客全体の減少は2.7%にとどまります。PRISMがJNTOの表をもとに計算したところ、1〜8月に中国から減った約380万人のうち、約305万人(80.1%)を他の市場の増加分が埋めていました。韓国と台湾の2市場の増加分だけで219万人となり、中国の減少分の57.5%にあたります。8月だけを切り出すと、中国以外の市場が埋めた割合は45.2%に下がります。どの期間で見るかによって、「持ちこたえた」とも「押し込まれた」とも読めるわけです。

JNTOの説明には、触れられていない部分もあります。報道発表資料の冒頭の要約は、中国の名前を挙げていません。一部の市場が前年同月を下回った理由としては、東南アジアの訪日需要が落ち着く時期にあたることに加え、「航空便の減便や台風による欠航等」を挙げています。中国が登場するのは、5ページ目の「地域別訪日旅行市場の概況」です。「中国政府より日本への渡航を避けるよう注意喚起があった」という一文があります。計算自体は単純です。中国1市場の減少幅(60万747人)が、全体の減少幅(32万9506人)を上回っています。中国を除いて計算すると、8月も訪日客は増えていたことになります。

四つの言語、五つの問い

四つの言語で出た報道を集めると、問いは五つになります。中国語の報道が、台湾と中国本土に分かれるためです。韓国は「誰が取り込んだのか」を、日本は「総量は持ちこたえたのか」を問います。台湾は「これは初めてのことなのか」を、中国本土は「なぜ行かないのか」を、英語圏は「威圧は効いたのか」を問うています。

五つの答えの隣には、それぞれ「ただし書き」にあたる数字が一つずつあります。韓国と日本の場合、その数字は自国の統計の中から出てきます。

ソウルの問い:誰が取り込んだのか

韓国メディアの見出しは、一つの方向を指しています。韓国経済新聞は9月14日、「中国人77万人が押し寄せ…韓国が日本を抜いた意外な状況」という見出しを付けました。同じ日のアジア経済の見出しは、「韓国は29%増え、日本は56%減った…中国人観光客が逆転」でした。ほかのメディアやポータルサイトに載った見出しには、「損切り」(見切りをつけるという意味の俗語)や「ジャックポット(大当たり)」といった言葉も登場しました。

根拠となった数字はこうです。韓国メディアが引用した韓国文化観光研究院の「国際観光動向 2026年第8号」(9月14日公表)によると、7月に韓国を訪れた中国人は77万7000人で、前年同月より29.0%増えました。訪韓外国人全体(209万3000人)の37.1%を占めます。2019年7月と比べると、149.6%の水準です。一部の報道が使った「49.6%増」は、コロナ禍前の2019年7月と比べた値です。

ソウル新聞は同じ報告書を引用し、7月の訪韓中国人は訪日中国人(42万8200人)の1.8倍だったと伝えました。前年7月は逆に、訪日中国人が訪韓中国人の1.6倍でした。ただし、この逆転は中国人市場に限った話です。7月に日本を訪れた外国人は計344万2100人で、同じ月に韓国を訪れた外国人より約135万人多くなっています。

「逆転」という言葉の下には、人の移動をめぐる物語が敷かれています。日本から離れた中国人が韓国に来た、という物語です。統計は、そこまでは語っていません。ソウル新聞が伝えた数字では、7月の訪日中国人は1年で約55万人減り、訪韓中国人は約17万人増えました。まず規模が違います。訪韓の増加には、昨年9月29日に始まった中国人団体観光客向けの期間限定のビザ免除という、別の要因もあります。日本に行かなかった中国人が韓国に来たのか、別の場所に行ったのか、そもそも海外に出なかったのかは、今の統計では見分けられません。

韓国国内の数字も、一つの方向だけを指してはいません。業界紙の韓国免税ニュースが8月30日に伝えた韓国免税店協会の資料によると、ソウルの免税店の7月の外国人購入客は48万3201人で、6月より2.8%増えました。一方、外国人売上高は約6195億ウォンで、6月より12.6%減っています。客は増えたのに、売り上げは減ったのです。1か月分の前月比較なので、傾向と言い切るのはまだ早いでしょう。事業者ごとの事情も異なります。同じ記事によると、現代免税店の7月の外国人売上高は前年同月より37.1%増えました。業界全体の前月比と1社の前年比は基準が違うため、並べて比べることはできません。

この1年の間には、ソウル中心部で嫌中集会も開かれました。警察は昨年9月以降、こうした集会の明洞への進入を禁止しています。

東京の問い:総量は持ちこたえたのか

日本の放送局の見出しは、二つの数字を1行に並べます。テレビ朝日系列のANNは9月17日、「8月の訪日外国人観光客30万人減 韓国など14の国と地域からは過去最多も中国は6割減」という見出しで報じました。本文は「中国からの旅行客が6割近く減ったことが一因です」と伝えています。その1か月前、NHKは7月の統計を「7月の訪日客数 中国からは大幅減も全体では4か月ぶりに増加」という見出しで伝えました。

これらの見出しは、中国からの減少をそのまま書いています。そして、そのすぐ隣に全体の総量やほかの市場の記録を置いています。経済メディアには、さらに一歩踏み込んだ見出しもあります。東洋経済オンラインは7月20日、「中国からのインバウンド激減が、日本の観光産業と経済効果の両面を『むしろ強靱化する』と言える根拠」と題した分析記事を掲載しました。

この読み方を最もよく裏付ける数字は、旅行者の財布の側にあります。観光庁「インバウンド消費動向調査」の1次速報によると、今年4〜6月の訪日外国人旅行消費額は2兆5096億円で、前年同期より0.2%増えました。この四半期、中国人旅行者は52.5%減りましたが、日本を訪れた中国人の1人当たり旅行支出は26万6753円と、9.4%増えています。平均泊数も11.2泊と、3.3泊長くなりました。団体客が抜け、長く滞在する個人旅行客が残ったという見方と合う数字です。消費額の上位5市場のうち、増加額が最も大きかったのは台湾(793億円)で、米国(302億円)と韓国(281億円)が続きました。

ただし書きにあたる数字も、日本の統計の中にあります。訪問者数で見ると、8月は全体で9.6%減りました。財布の側にも留保が付きます。同じ4〜6月に日本を訪れた韓国人は259万7000人と最も多かったものの、消費額の増加額は台湾や米国より小さくなりました。韓国人の1人当たり旅行支出は9万9542円で、1年前より2.3%減っています。消費額の上位5市場の中で、唯一10万円に届かず、唯一減少しました。中国人の1人当たり支出の約37%です。

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日本国内からも、別の声が上がっています。日本経済新聞は7月、森トラストの推計として、今年の訪日客が中国客の減少や中東情勢の影響で2〜5%減るとの見通しを伝えました。NHKも、上半期の訪日客が5年ぶりに減少したと報じています。打撃の事例は、中国人客の比率が高かった場所から出ています。台湾メディア「風傳媒」の日本語版は4月5日、ブルームバーグの取材を引用して、大阪市中心部のある大型ホテルの例を伝えました。昨年の春節には中国人の個人客で約1000室が埋まっていたのに対し、今年の春節の予約は150室にとどまり、85%減ったといいます。かつて宿泊客の9割を中国人が占めていた山梨県富士河口湖町のリゾートホテルも、同じ記事に登場します。

台北の問い:これは初めてのことなのか

台湾の自由時報は今年5月20日、4月の統計を伝える記事に「中國客暴減近6成沒差!台、韓強勢補位」という見出しを付けました。「中国人客が6割近く激減しても問題ない、台湾と韓国がしっかり穴を埋めた」という意味です。この見出しの中の韓国は、台湾と肩を並べて日本市場を支える、いわば同じ側の訪日市場です。1〜8月の累計では、韓国と台湾の増加分が中国の減少分の57.5%にあたるため、数字もこの見出しを裏付けています。ただし、8月だけを見ると、中国以外の市場全体で埋めた割合は45.2%です。

台湾の読み方には、さらに深い層があります。記憶です。風傳媒の日本語版は4月5日の記事で、「台湾の人々にとって、『中国客の断崖』は決して見知らぬ現象ではない」と書きました。記事によると、2016年に民進党政権が発足した後、前年に418万人に達していた訪台中国人が激減し、中国人客の定番観光ルートだった墾丁、日月潭、阿里山が大きな打撃を受けました。そして、日本がいま直面している事態は「台湾が10年近く前に経験した道のりそのもの」だと記しています。

韓国にも、似た記憶があります。2017年、米国の迎撃ミサイルシステムTHAAD(サード)の韓国配備をめぐる対立の後、中国人団体客が急減しました。オーストラリアのローウィー研究所の分析も、中国が観光を外交のてこに使った過去の例として、韓国と台湾を挙げています。台湾の読み方では、日本のこの10か月は、2016年の台湾、2017年の韓国に続く場面です。この読み方が問うているのは、繰り返しです。

北京の問い:なぜ行かないのか

中国の公式な説明は、注意喚起の文書そのものにあります。最初の通知と最新の通知がともに挙げる理由は、日本の治安への不安と、中国公民を狙った犯罪です。この説明の中で、観光客の減少は安全上の問題への対応と位置づけられています。

国営メディアの記述は、観光客の気持ちに焦点を当てます。中国新聞網は7月27日、「越来越多中国人不去日本旅游(日本へ旅行に行かない中国人がますます増えている)」という記事を配信しました。記事は、高市首相が就任以来、台湾をめぐる「誤った発言」を重ね、日中関係の政治的基礎を損なったと書いています。そのうえで、「中国人観光客の訪日熱は氷点まで下がった(中国游客赴日热情降至冰点)」と記しました。

この文の主語は中国人観光客で、述語は氷点まで冷え込んだ熱意です。「禁止」や「制限」のように、政府の行為を表す動詞はありません。観光客の減少は、消費者自身の選択として描かれています。韓国はこの記述に登場しません。韓国メディアが韓国の取り分として読む数字を、中国の国営メディアは、日本への旅行熱が冷めたことを示す指標として読んでいます。

この読み方にも、ただし書きの数字があります。8月にも、41万8000人の中国人が日本を訪れました。インバウンド業界メディアの「やまとごころ.jp」は9月14日、Airbnbの発表を引用し、今年の国慶節の連休に中国人旅行者が向かう海外旅行先のトップ10で、日本が5位に入っていると伝えました。需要は大きく落ち込みましたが、途絶えてはいません。

英語圏の問い:威圧は効いたのか

英語圏の分析は、観光を外交の手段と捉え、その効果を問います。安全保障アナリストのデニー・ロイ氏は9月3日、アジア・タイムズに「中国の対日圧力キャンペーンは大きく裏目に出ている」と題する論考を寄せました。ロイ氏は、観光、水産物の輸入、軍民両用(デュアルユース)品目の輸出にまたがる中国の対応を「過剰反応」だと評しています。そのうえで、「一部の中国企業は商売を失いつつあり、日本を訪れたい中国人観光客は別の計画を立てている」と書きました。

オーストラリアのローウィー研究所の論評サイト「ジ・インタープリター」には9月2日、「日本はいかにして中国の『観光の罠』をかわしたか」が掲載されました。筆者で米海軍将校のアンドリュー・オーチャード氏は、中国人の人数をすべて埋められなくても、彼らが使っていたお金を置き換えられれば、日本は大きな減少を吸収できると論じました。結論は一文です。「経済力は、自動的には経済的な支配力に結びつかない」。先に見た4〜6月の消費額(+0.2%)は、この論旨と重なります。米戦略国際問題研究所(CSIS)の論考のタイトルも、中国の経済的威圧の「限界」をうたっています。筆者の多くは、米国の安全保障分野の人たちです。その点は念頭に置いて読む必要があります。

この議論の中で、韓国はほとんど見えません。アジア・タイムズの論考には、韓国に触れた文が一つもありません。ローウィー研究所の論考では、韓国は、中国が過去に観光をてこにした例としてのみ登場します。経済報道では、少し事情が違います。昨年12月にコリア・タイムズに掲載された「日本との対立の中、韓国が中国人の新たな『コスパ旅行先』になりつつある理由」は、韓国人気の高まりをウォン安で説明しました。記事に引用されたチャイナ・トレーディング・デスクのスブラマニア・バット最高経営責任者(CEO)は、「ウォン安で韓国は中国人旅行者にとってよりコスパのよい旅行先になり、同じ時期に日本は政治的に『高くつく』場所になった」と語っています。韓国の経済紙が「逆転」と呼ぶ現象を、この記事は為替による割安感で説明しているのです。

「裏目に出た」という結論へのただし書きは、日本の側にあります。8月の訪日客は9.6%減り、大阪のあるホテルでは春節の予約が85%減りました。圧力は効いたのかという問いに対して、中国人客の比率が高かった日本の宿泊業からは、別の答えが返ってきます。

発端:国会答弁は1回、注意喚起は4回

始まりは2025年11月7日の衆議院予算委員会でした。立憲民主党の岡田克也氏が台湾有事について質問し、高市首相は、台湾有事が場合によっては存立危機事態になり得るという趣旨の答弁をしました。存立危機事態は2015年の安全保障関連法で導入された概念で、認定されれば、日本は限定的に集団的自衛権を行使できます。答弁は、台湾有事の際に日本が集団的自衛権を行使し得るという意味に受け止められました。高市首相は答弁を撤回していません。

中国外務省は、報道官の会見や、駐中国日本大使の呼び出しを通じて抗議しました。11月14日夜には、中国外務省と在日中国大使館・総領事館の名義で、「提醒中国公民近期避免前往日本(中国公民に当面の日本渡航を避けるよう注意喚起)」という通知が出されました。翌日には文化観光省がこれを引用し、中国人観光客に対して当面日本への旅行を控えるよう呼びかけました。

最初の通知は、理由を二つ重ねて挙げています。まず、日本の治安への不安と、中国公民を狙った犯罪です。続けて「近日,日本领导人公然发表涉台露骨挑衅言论(最近、日本の指導者が公然と台湾に関する露骨な挑発的発言をした)」とし、それが在日中国人の身の安全に重大なリスクをもたらしたと記しています。高市首相の名前はありません。「報復」や「制裁」という言葉もありません。中国は、この措置を安全の問題として説明しました。これを経済的な圧力とみるのは、日本や欧米のアナリストの解釈です。

形式にも目を向ける必要があります。タイトルの核となる語は「提醒(注意喚起)」です。「禁止」「暂停(一時停止)」「限制(制限)」といった言葉はありません。旅行会社に日本向け商品の販売停止を命じる行政命令も、確認されていません。韓国メディアが使う「限日令」は、中国での韓流規制を指して使われてきた「限韓令」になぞらえて、メディアや業界が付けた呼び名です。ただし、注意喚起そのものは、二つの省庁が公式サイトに掲載した正式な文書です。年が明けた1月の輸出規制には、別の形式が使われました。中国商務省は2026年1月6日、「公告2026年第1号」で、日本の軍事ユーザーと軍事用途に向けた軍民両用(デュアルユース)品目の輸出を禁止しました。輸出規制には法令に基づく「公告」を、観光には「注意喚起」を使った形です。この形式は、観光客の減少を国民自身の選択として語る余地を残しています。

注意喚起は1回では終わりませんでした。中国外務省の「中国領事サービス網」にある「安全提醒」の一覧には、タイトルに「日本」を含む通知が4件あります。

掲載日タイトル(原文)日本語訳
2025年11月14日提醒中国公民近期避免前往日本中国公民に当面の日本渡航を避けるよう注意喚起
2025年12月11日再次提醒:中国公民近期避免前往日本再度の注意喚起:中国公民は当面の日本渡航を避けるように
2026年1月26日提醒中国公民春节期间避免前往日本中国公民に春節期間中の日本渡航を避けるよう注意喚起
2026年3月26日提醒中国公民近期避免前往日本中国公民に当面の日本渡航を避けるよう注意喚起

出典:中国外務省「中国領事サービス網」の「安全提醒」一覧(2026年9月21日確認)。最初の通知は在日中国大使館での掲載日。

4件目の通知は、最初の通知とタイトル、呼びかけの文言、名義がすべて同じです。変わったのは理由です。3月の通知には「日本の指導者」も「台湾」も出てきません。挙げられているのは、3月24日に現役の自衛隊員1人が刃物を持って塀を乗り越え、在日中国大使館に侵入した事件です。通知は、この事件が中国の外交官の身の安全と外交施設の安全を深刻に脅かしたと記しています。

日本側の説明もあります。NHKは、この24歳の陸上自衛官が逮捕された後、脅迫の罪でも起訴されたと報じました。日本政府は、中国側に遺憾の意を伝えたと報じられています。日本の当局が自衛官個人を逮捕し、起訴した事件です。

呼びかけの強さは同じままです。明記された理由は変わりました。PRISMが9月21日に確認した中国外務省の領事情報の一覧には、3月26日以降、日本に関する追加の通知も、解除の通知もありません。注意喚起の文書に終了日はなく、「近期(当面)」という言葉があるだけです。注意喚起の後、訪日中国人は急減しました。ただし、両者の因果関係を中国政府が公式に認めたことはありません。

韓国の「漁夫の利」に差す影

韓国メディアが「漁夫の利」を語るとき、見えにくくなっているものがあります。日中対立のコストが、韓国に流れ込む経路です。PRISMが確認した経路は二つあり、どちらも日本とつながっています。

中国産の素材が日本へ渡るとき

一つ目は、商務省の公告2026年第1号です。4文からなる公告の3文目は、国境の外に向けられています。「いかなる国・地域の組織や個人も、上記の規定に違反し、中国原産の関連するデュアルユース品目を日本の組織や個人に移転・提供した場合は、法に基づき法的責任を追及する」。特定の国を名指ししてはいません。禁止の対象も、日本の軍事ユーザーと軍事用途、そして日本の軍事力の向上に役立つその他の最終ユーザーと用途に限られています。原産地が変わるほど加工した製品にどう適用されるのか、罰則が何なのかは、公告に書かれていません。

空白を埋めているのは、解釈です。ドイツの法律事務所GVWは1月の分析で、この条項の範囲を広く捉えました。中国以外の企業が中国の外で中国原産のデュアルユース品目を日本に渡し、この措置に違反すれば、中国法上の責任が生じ得るという解釈です。同時に、公式の施行指針がないため、解釈は暫定的だとも記しています。韓国の金・張法律事務所は1月21日のレポートで、中国の2026年版デュアルユース品目の輸出入管理リストを取り上げました。レアアース(一部)、ガリウム、ゲルマニウム、黒鉛や、半導体・集積回路などが含まれているとして、サプライチェーンのコンプライアンス点検を勧めています。中国メディアによると、商務省の報道官は1月8日の記者会見で、民生用途の取引は影響を受けないと述べました。韓国企業がこの条項で措置を受けた例は、まだ確認されていません。

日本人メンバーのいるK-POPグループ

二つ目は舞台です。昨年12月から、中華圏でK-POPイベントの中止や不参加が相次ぎました。日本人メンバーのSAKURAさんとKAZUHAさんが所属するLE SSERAFIMの上海でのファンサイン会(12月14日)は中止になり、主催者側は不可抗力による事情を理由に挙げました。MBCの音楽番組「ショー!音楽中心」のマカオ公演は、開幕10日前の1月28日に中止が発表されました。2月の香港での「ドリームコンサート」は、無期限延期になりました。イベント自体は開かれたものの、日本人メンバーだけが欠けた舞台もあります。昨年12月の杭州でのファンミーティングではCLOSE YOUR EYESのKENSHINさんが、今年2月のマカオ公演ではRIIZEのSHOTAROさんが、ステージに立てませんでした。

どの公式発表も、日本人メンバーやビザを理由には挙げていません。原因をめぐる説明は、音楽業界の観測や関係者の発言にとどまります。「限日令」という言葉も、この頃の韓国の芸能メディアの見出しで繰り返し使われました。PRISMが閲覧した中国政府の文書からは、この言葉も、日本国籍のアーティストの公演を制限する指針も見つかっていません。今年2月以降、日本人メンバーに関わる事例は、PRISMの取材では新たに確認されていません。

分岐点:10月、11月、12月

この記事が出る9月22日、日本はシルバーウィークの5連休の終盤にあります。続いて韓国の秋夕(チュソク)連休(9月24〜27日)と中国の中秋節の連休(9月25〜27日)が来て、10月1日から7日までは中国の国慶節の連休が続きます。中秋節と国慶節の間の3日間に有給休暇を取れば、13日間休むことができます。ソウル市によると、この連休の流れに合わせて、9月19日から10月11日まで「ソウル歓待週間」が開かれます。国慶節の結果は、10月の統計に表れます。

11月18〜19日には、中国・深圳でAPEC首脳会議が開かれます。日経によると、高市首相は7月27日、このAPEC首脳会議への出席を「楽しみにしている」と述べ、「中国は重要な隣国だ」と語りました。日中間に懸念と課題があるとも述べました。日中首脳会談を開くかどうかは発表されていません。高市首相と中国の習近平国家主席が初めて会談したのは、昨年10月31日、韓国・慶州でのAPECの場でした。日経はこの会談を報じる記事に「互恵を再確認」という見出しを掲げています。国会答弁が行われたのは、その1週間後です。深圳は、国会答弁の後、両首脳が初めて顔を合わせる可能性のある場になります。

12月31日には、韓国が中国人団体観光客に認めている期間限定のビザ免除が終わります。昨年9月29日に始まった制度で、韓国法務省が今年6月に年末まで延長しました。韓国の旅行業界紙トラベルタイムズによると、今年6月21日までにこの制度で入国した中国人は10万4369人で、団体から離脱した人の割合(離脱率)は0.02%でした。韓国法務省は、実施期間を「韓国国民に対する中国のビザなし入国の許可期間と同じく」適用すると説明しています。中国が韓国人に認めているビザ免除も、今年12月31日までです。韓国法務省の説明どおりなら、韓国が延長するかどうかは、中国が来年も韓国人へのビザ免除を続けるかどうかと連動します。韓国国会には、中国人へのビザ免除の廃止を求める国民同意請願(一定数の賛同が集まると国会の委員会に付託される制度)が出され、9月14日に法制司法委員会に付託されました。翌日には、賛同者が6万人を超えています。12月31日以降のことは、まだ決まっていません。

それぞれが選んだ数字

日本観光の「一番のお客さま」が3番手に下がる間、各言語圏のメディアは、自分の問いに合う数字と場面を選びました。韓国メディアが選んだのは、7月の訪韓中国人77万7000人です。日本の放送局は14の国・地域の過去最多を、台湾の新聞は台湾と韓国の旅行者が埋めた穴を選びました。中国の国営メディアは氷点まで冷え込んだ旅行熱を、英語圏のアナリストは商売を失う中国企業を選んでいます。五つとも、選んだ材料は事実です。

それぞれの読み方の向かい側にも、数字があります。ソウルの免税店の7月の外国人売上高は、前月より12.6%減りました。8月の訪日客全体は、1年前より9.6%減りました。その8月にも、41万8000人の中国人が日本を訪れています。中国外務省の注意喚起の文書には、今も終了日がありません。中国の国慶節の連休まで、もう10日を切っています。

本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。

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