イラン体制の「限界点」:抗議鎮圧後に残る根本的ジレンマ
イランで大規模抗議が収束した後も、経済危機と地域的孤立が体制の根本的変化を迫る。トランプ政権との交渉可能性と体制変化の必然性を分析。
3,117人が死亡したとされる大規模抗議デモが収束してから約1か月。イランの街頭は静寂を取り戻したが、専門家たちは「これは安定した現状ではない」と警告している。
昨年12月末に通貨暴落への抗議から始まった今回のデモは、イスラム共和制の打倒を求める全国規模の蜂起へと発展した。当局の激しい弾圧により表面的には秩序が回復したものの、抗議の根本的原因である経済危機は解決されておらず、体制は重大な岐路に立たされている。
制裁と経済破綻の悪循環
今回の抗議デモの背景には、数十年にわたる国際制裁と政府の失政・汚職により深刻化したイラン経済の構造的問題がある。イランリアルの価値は暴落し、石油収入は激減。昨年のインフレ率は42%を超えた。これは、核合意により制裁が緩和されていた2016年の6.8%と比べると、その深刻さが際立つ。
ドナルド・トランプ大統領は2018年の第1期政権時に核合意から離脱し、制裁を再び課した。現在のイランは電力不足と慢性的な水不足にも悩まされ、一般市民の生活は困窮を極めている。
過去の抗議では、政府は補助金の拡大や社会的規制の緩和で対応してきた。しかし今回は、そうした従来の懐柔策を講じる余力がほとんど残されていない。
「前方防衛」戦略の限界
制裁緩和を得るには、トランプ政権との交渉が不可欠だが、それにはハメネイ最高指導者がイランの外交政策の根幹である3つの柱―核開発計画、弾道ミサイル、地域の同盟ネットワーク支援―で譲歩する必要がある。
これらは戦闘をイラン領土に持ち込ませないための「前方防衛」戦略の核心部分だった。しかし昨年6月のイスラエルとの戦争で、この戦略の有効性は大きく損なわれた。
レバノンのヒズボラは武器庫を破壊され指導部を失い、シリアのアサド政権は崩壊。イラク国内の非国家主体は政治システムに組み込まれてより慎重になり、イラン本土も初めて宿敵イスラエルから直接攻撃を受けた。
ドイツ国際政治安全保障研究所のハリレザ・アジジ客員研究員は「戦争後、イランでは非国家主体との連携の実際の利益について激しい議論が交わされた」と指摘する。結果として採用されたのは、地域同盟ネットワークを修正しながらも「倍増させる」方針だった。
変化は避けられないのか
それでも米イラン間の対話の可能性は完全に閉ざされていない。抗議の最中、トランプ氏がイランの「残忍な弾圧」を理由に攻撃を示唆して緊張が高まったが、湾岸アラブ諸国が地域の混乱を恐れて攻撃を控えるよう働きかけ、トランプ氏も発言を軟化させた。
木曜日、トランプ氏はダボスでの演説で「イランは話し合いを望んでおり、我々も話し合うだろう」と述べ、外交チャンネルが開かれていることを示唆した。ただし、これは米軍資産の中東展開と並行しており、イランに取引を強要する圧力戦術の側面が強い。
しかし、仮にイランが大幅な譲歩を行ったとしても、安全保障と正統性の認識を回復するのは困難だろう。長年にわたり、イラン国民と体制の間の暗黙の社会契約は、社会的・政治的自由を犠牲にした安全保障の保証に基づいていた。だが昨年のイスラエルとの戦争で610人のイラン人が12日間で死亡し、この正統性の柱は崩れ去った。
軍事化する権力構造
アジジ氏によれば、すでに変化は始まっている。1979年のイスラム革命後に設立された精鋭部隊イスラム革命防衛隊が国内で最も強力な経済・政治主体に成長し、政治システムは聖職者主導から軍事主導へと移行しつつある。
「ハメネイ氏の死去または退陣後、我々が知っているようなイスラム共和制は見ることはないだろう」とアジジ氏は予測する。「それが民衆の街頭デモを活発化させて体制変革につながるのか、それとも安全保障機構が別の形で再編されるソビエト式の体制転換になるのかは未解決の問題だが、変化は避けられない」。
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