プライベートクレジット危機、暗号資産市場を直撃する可能性
BlackRockの260億ドル規模プライベートクレジットファンドが解約制限を実施。3.5兆ドル市場の動揺が暗号資産やDeFiに波及するリスクを専門家が警告。
260億ドル。BlackRockの巨大プライベートクレジットファンドが解約制限に踏み切った金額だ。この決定は単なる金融業界の内部問題ではない。3.5兆ドル規模のプライベートクレジット市場の動揺が、思わぬ経路で暗号資産市場を襲う可能性を示している。
相次ぐファンドの流動性危機
Bloombergの報道によると、BlackRockのプライベートクレジットファンドは解約申請の増加を受けて引き出し制限を開始した。これは孤立した事例ではない。Blue Owlも先月、解約要請に応えるため14億ドルのローンを売却し、英国不動産貸し手の破綻に関連する損失を抱えていると報じられている。
金曜日には主要資産運用会社の株価が軒並み下落した。BlackRock(BLK)、Apollo Global Management(APO)、Ares Management(ARES)、KKRの株価は4-6%下落し、2026年の下落トレンドを拡大させた。
問題の根深さは数字に表れている。米国の銀行はプライベートクレジット提供者に約3,000億ドル、プライベートエクイティファンドにさらに2,850億ドルを貸し出している。これは信用問題が銀行セクターに拡大するリスクを示唆している。
暗号資産への二つの波及経路
スイスの暗号資産銀行AMINA Bankのデリバティブ取引責任者、アンドレヤ・コベルジッチ氏は警告する。「解約圧力がプライベートクレジットファンドのポジション解消を迫れば、より広範囲なデレバレッジが資産クラス全体に波及し、ビットコインを含むデジタル資産に影響する可能性がある」。
特に懸念されるのは、エネルギーショックや利下げ期待の後退といった他の要因との複合的影響だ。「単独であれば管理可能だが、より広範囲なグローバルデレバレッジイベントとエネルギーショックの中で起きているため、全く違う話になる」とコベルジッチ氏は指摘する。
さらに直接的な波及経路も存在する。トークン化されたプライベートクレジット商品が急速に成長しているのだ。rwa.xyzのデータによると、オンチェーンプライベートクレジット市場は現在50億ドル近くに達している。これは3.5兆ドルの世界市場と比べれば小さいが、DeFi内での存在感は無視できない。
実際に起きた波及事例
理論的な懸念ではない。2025年、自動車部品サプライヤーFirst Brands Groupの破綻が、Fasanara Capitalが運用するプライベートクレジット戦略に影響を与えた。この戦略のトークン化版であるmF-ONEはMidas RWAプラットフォームで発行され、Morphoプロトコルで借入担保として使用されていた。
基礎ファンドが破綻関連エクスポージャーを減額すると、トークンの純資産価値が約2%下落。高レバレッジの借り手が清算に近づき、プラットフォームの流動性が逼迫した。最終的に貸し手は損失を免れたが、この事例はトークン化されたプライベートクレジットがDeFi担保として使用される際のリスクを浮き彫りにした。
日本市場への示唆
日本の投資家にとって、この動向は特別な意味を持つ。日本の年金基金や機関投資家は近年、代替投資への配分を増やしており、プライベートクレジットも投資対象に含まれている。また、日本企業の多くが暗号資産関連事業に参入する中、この二つの市場の相関関係は無視できない要素となっている。
三菱UFJフィナンシャル・グループや野村ホールディングスといった大手金融機関は、両方の分野で事業を展開している。市場の動揺が複合的に影響する可能性がある。
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