ビットコイン「午前10時の謎」が消失:市場操作疑惑の真相は?
Jane Street社への訴訟後、ビットコインの朝の急落パターンが突然消失。ETF市場の仕組みから見える構造的問題とは?
毎朝午前10時になると、まるで時計のようにビットコインが急落する現象が続いていた。しかし、大手トレーディング会社Jane Street社が訴訟を受けた途端、この不可解なパターンが消失した。偶然の一致なのか、それとも何かもっと深い構造的問題があるのだろうか?
消えた「10時の魔法」
X(旧Twitter)では、この現象を「10時の価格操作」と呼ぶ投資家たちが騒然としている。Jane Street社が2025年11月以降、毎朝ニューヨーク市場オープンと同時にビットコインを組織的に売却し、価格を押し下げた後にBlackRockのIBIT ETFを安く買い集めていたという疑惑だ。
実際の数字は衝撃的だった。ビットコインは12万5000ドルから6万2000ドルまで下落。しかし、Jane Street社への訴訟が公になった2月24日以降、この朝の急落パターンが完全に消失し、ビットコインは6%以上上昇して7万ドル近くまで回復した。
しかし、暗号資産エコノミストのAlex Kruger氏が提示したデータは、この陰謀論に疑問を投げかける。IBIT ETFの午前10時から10時30分の累積リターンは+0.9%。系統的な売り圧力の証拠は見つからないのだ。
ETFの仕組みが生む「グレーゾーン」
真の問題は、個別企業の悪意ではなく、ETF市場の構造そのものにあるかもしれない。Jane Streetのような認定参加者(AP)は、ETFの価格を原資産の純資産価値(NAV)に連動させる重要な役割を担っている。
日本の投資家にとって興味深いのは、この仕組みが日経225 ETFなどでも同様に機能していることだ。APは需要急増時に新しいETF株式を創出し、需要減少時に償還する。ビットコインETFでは「現物創出・償還」が認められており、APは実際のビットコインを直接交換できる。
問題は、APが空売り規制の例外を受けていることだ。通常の投資家が空売りする際に必要な「借株コスト」を支払わずに済む。これにより、朝の需要急増時にETF株式を先に空売りし、後から現物ビットコインをOTC市場で調達するという戦略が可能になる。
日本市場への示唆
日本では2024年にビットコインETFの承認議論が本格化しているが、この問題は日本の投資家にとっても無関係ではない。東京証券取引所でビットコインETFが上場された場合、同様の構造的問題が発生する可能性がある。
特に注目すべきは、日本の金融庁が暗号資産規制で世界をリードしてきた経験だ。今回のJane Street問題は、ETF設計において「技術的には合法だが、価格発見機能を阻害する可能性のある行為」をどう規制するかという新たな課題を提起している。
野村證券や大和証券などの大手証券会社が将来的にビットコインETFのAPとなった場合、同様の「朝の調整圧力」が東京市場でも発生するのだろうか?
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