ビットコイン採掘業者の「冬の危機」:ハッシュレート12%急落の裏側
米国の厳冬でビットコイン採掘業者が操業停止、ハッシュレートが12%急落。2021年以来最大の下落で採掘収益は年間最低水準まで悪化。
970エクサハッシュ毎秒。この数字は現在のビットコインネットワークの計算能力を示している。しかし、わずか2か月前の11月11日と比較すると、その数値は12%も低下している。これは2021年10月以来、最大の下落幅だ。
原因は意外にもシンプルだった。アメリカを襲った厳しい冬の嵐が、ビットコイン採掘業者たちを直撃したのである。
嵐が変えた採掘経済学
今回の事態は、ビットコイン採掘業界の脆弱性を改めて浮き彫りにした。CryptoQuantのデータによると、1月22日に約4500万ドルだった日次採掘収益は、わずか2日後には年間最低の2800万ドルまで急落した。
大手公開採掘企業の生産量も劇的に変化している。1日あたり77ビットコインから28ビットコインまで減少し、その他の採掘業者も403ビットコインから209ビットコインへと大幅に落ち込んだ。
この数字の背景には、米国の主要採掘拠点での電力供給の混乱がある。複数の上場採掘企業が、インフラ保護と電力網の削減要請への対応のため、一時的に機器の運転を停止せざるを得なくなった。
利益率の悪化が示すもの
採掘業者の財務状況を示すCryptoQuantの「採掘業者損益持続可能性指数」は21まで下落し、2024年11月以来の最低水準となった。この数値は、ネットワークの相当な部分で採掘業者が収益で運営コストを賄えない状況にあることを示している。
興味深いのは、複数回の難易度調整が下方修正されたにもかかわらず、この状況が改善されていない点だ。通常、ハッシュレートの低下は採掘難易度を下げ、残った採掘業者の収益性を改善するはずだった。
しかし、ビットコイン価格が昨年末の史上最高値12万6000ドルから10万ドル水準まで下落したことで、難易度調整による恩恵が相殺されてしまった。
日本の視点から見る採掘業界
日本では暗号資産への関心が高まる一方で、採掘事業への参入は限定的だ。電力コストの高さと規制環境が主な理由とされる。しかし、今回の米国での事態は、日本の投資家にとって重要な示唆を含んでいる。
ソニーや任天堂などの日本企業が、ブロックチェーン技術やNFT分野での取り組みを拡大する中、基盤となるビットコインネットワークの安定性は無視できない要素となっている。採掘業者の経営悪化は、長期的にネットワークのセキュリティに影響を与える可能性がある。
また、日本の機関投資家の間でビットコインへの投資が増加している現状を考えると、採掘業界の動向は価格形成にも影響を与えうる。
回復への道筋
ハッシュレートが抑制された状態が続けば、今後数週間でさらなる難易度の下方修正が見込まれる。これは残存する採掘業者にとって、ある程度のマージン改善をもたらす可能性がある。
しかし、根本的な課題は残る。採掘業界は2021年の中国での採掘禁止以降、地理的分散化を進めてきたが、今回の事態は特定地域への依存リスクを改めて示した。
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