ビットコイン7万ドル回復の裏で「極度の恐怖」が続く理由
ビットコインが7万ドルを回復したが、市場心理は極度の恐怖状態。87億ドルの損失実現が示す投資家の真の心境とは?
87億ドル。この1週間でビットコイン投資家が実現した損失額です。それでも価格は7万ドルまで回復しました。なぜ数字と心理がこれほど乖離しているのでしょうか。
インフレ鈍化でも消えない「極度の恐怖」
ビットコインは2月14日、70,000ドルを回復し、24時間で約5%上昇しました。きっかけは米国の1月消費者物価指数が予想を下回る2.4%(前年同月比)となったことです。市場は利下げ期待を高め、リスク資産への資金流入が加速しました。
予測市場Kalshiでは、4月の利下げ確率が19%から26%に上昇。Polymarketでも13%から20%に跳ね上がりました。低金利環境はリスクフリー資産の魅力を下げ、相対的に暗号資産の投資妙味を高めます。
しかし、価格回復の陰で市場心理は冷え込んだままです。暗号資産恐怖・貪欲指数は「極度の恐怖」レベルを維持。これは2022年のFTX破綻時以来の水準です。
史上2番目の「投げ売り」が示すもの
Bitwiseのアナリストによると、この1週間の87億ドルの損失実現は、3AC(スリーアローズキャピタル)破綻時に次ぐ規模です。これは典型的な「キャピテュレーション(投げ売り)」現象と見られています。
興味深いのは、ビットコイン保有企業の含み損が210億ドルから169億ドルに減少したことです。価格回復により帳簿上の損失は縮小しましたが、個人投資家の実現損失は膨らみ続けています。
これは何を意味するのでしょうか。「弱い手から強い手への供給移転」が進行中だとBitwiseは分析します。つまり、短期的な値動きに動揺する投資家から、長期保有を前提とする投資家へビットコインが移っているのです。
日本の投資家が直面する現実
日本の暗号資産投資家にとって、この状況は複雑です。円安進行により、ドル建てのビットコイン価格上昇は円建てでより大きな利益をもたらします。しかし、税制面での不利さが依然として重荷となっています。
日本の暗号資産税制は最大55%の累進課税。一方、株式投資は20.315%の分離課税です。この格差が、日本の個人投資家の暗号資産への本格参入を阻んでいる可能性があります。
SBIや楽天といった日本の金融大手は暗号資産事業を拡大していますが、個人投資家の裾野拡大には制度改革が不可欠でしょう。
恐怖が生む売り圧力の連鎖
BitwiseのアナリストDanny Nelson氏は「市場の主要な推進力は恐怖だ。さらに下落するのではないかという恐怖」と指摘します。この恐怖心理が、価格上昇局面でも売り圧力を生み出している構図です。
投資家は価格回復を「売り逃げのチャンス」と捉えがちです。これが続く限り、持続的な上昇トレンドの形成は困難かもしれません。
一方で、週末の薄商いが現在の価格回復を支えているのも事実です。売り手の疲弊と、強固な信念を持つ投資家への供給移転が進めば、市場の安定化につながる可能性もあります。
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