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15億ドルの和解金、でも作家には届かない
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15億ドルの和解金、でも作家には届かない

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AI企業Anthropicが著作権侵害で15億ドルの和解に合意。しかし50万人の作家への支払いは不具合だらけのシステムに阻まれ、一人当たりの金額も想定を大きく下回る実態を追う。

「コーディングは難しいんですよ」――電話口でクスクス笑いながらそう言ったのは、15億ドル規模の和解金を管理するシステムの担当者だった。

笑われていたのは、28冊の著書を持つYA小説の人気作家、モーリーン・ジョンソンだ。彼女は自分の作品がAI企業に無断で使われた補償を受け取ろうと、90分かけて申請フォームを2度入力した。それでも記録は消え、担当者は苦笑するだけだった。

何が起きたのか:史上初のAI著作権和解

2025年9月、米国の裁判所はAnthropic(AIアシスタント「Claude」の開発元)と約50万人の作家との間で、15億ドル(約2,200億円)の和解を承認した。これはAI企業が著作権侵害で支払う和解金としては史上最大規模だ。

事の発端は2021年にさかのぼる。Anthropicは大規模言語モデルを学習させるために、海賊版の書籍データベースから数百万冊の著作権保護された書籍を無断でダウンロードしていた。裁判官は、許可なく書籍を使用すること自体は「フェアユース」に当たると判断したが、海賊版を使用したことは著作権侵害にあたると認定した。同様の訴訟はMetaOpenAIに対しても係争中だ。

問題は、この和解金が実際に作家たちの手に届くかどうかだ。

データは「海賊版図書館のメタデータ」

和解金を分配するには、まず「誰が対象者か」を特定しなければならない。しかしここで根本的な問題が生じた。Anthropicは学習データを取り込む際に自社での記録を残しておらず、弁護士たちは海賊版サイト自身のデータに頼るしかなかった。

「クラウドソーシングされた海賊版図書館のメタデータです」と、著作者権擁護団体Authors Allianceのデイブ・ハンセン事務局長は述べる。「法的請求を管理するためにそのデータを使うなんて、ほとんど何にも使えないようなものを使っているに等しい。でも、それが彼らが持てる最善のものだった」

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弁護士たちは当初の700万冊のリストを、2022年時点で米国著作権法の保護下にあるタイトルに絞り込み、さらに業界データベースで補完して連絡先情報を生成した。しかしこの「整理されたデータ」を基に構築された請求管理ウェブサイトは、深刻な不具合を抱えていた。

コメディ小説『ラム:キリストの幼なじみビフによる福音書』などで知られるクリストファー・ムーアは、19冊分の申請書類のうち18冊を入力した後、翌日戻ってくると全データが消えていた。再申請から1ヶ月後、届いた通知には他の「クリストファー・ムーア」という名の作家の著書が混入していた。YAミステリ作家のエイプリル・ヘンリーは、自分の本の著作権者欄にオーディオブックのナレーターの名前が記載されているのを発見した。

15億ドルを50万人で割ると

数字の話をしよう。15億ドルは確かに大きな金額に聞こえる。しかし50万人の作家で分け合い、さらに出版社と折半すると、1冊あたりの推定額は3,000ドル(約44万円)になる。

「22冊で6万6,000ドルか、と思うじゃないですか」とヘンリーは言う。「でも出版社の取り分や共著者への分配を考えると、1冊あたり500ドルになるケースもある。最初は『棚ぼただ!』と思っても、全然そんな感じがしない」

「私のキャリア全体で、3万ドル以下になる」とムーアは語る。「カタログ全体に対してそれは多くない。そして、この新しい世界が作家にとって長期的にどんなダメージをもたらすのか、私たちにはまだわからない」

5月14日、この和解は「公平性審問」を受ける予定だ。作家たちは「損害に対して補償が不十分」だと訴えており、裁判官がその訴えを審査する。一方でAnthropicは現在、企業評価額9,000億ドルを誇るテクノロジー業界の巨人だ。

日本の作家・クリエイターへの示唆

この問題は、太平洋を越えた話ではない。ソニー任天堂講談社集英社といった日本のコンテンツ企業も、自社の著作物がAI学習データに含まれている可能性を懸念している。日本では2019年の著作権法改正により、AI学習目的での著作物利用が広く認められているが、海賊版データベースの使用については別問題だ。

日本のマンガ家や小説家は、米国の訴訟の行方を注視している。日本のクリエイターが同様の集団訴訟を起こす法的土台は現時点では薄いが、国際的な判例が積み重なれば、日本の法制度にも影響を与える可能性がある。また、日本の出版社が海外のAI企業との交渉で参照できる前例として機能するかもしれない。

本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。

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