移民取締りが生む「第二のパンデミック」
ICE(移民税関捜査局)の大規模取締りが移民コミュニティに与える影響は、COVID-19パンデミック時の状況と酷似している。在宅避難、遠隔授業、医療受診の回避など、社会に新たな分断を生んでいる。
5歳の男の子が、父親と一緒に学校から帰る途中で移民取締官に拘束された。リアム・ラモス君はその後、テキサス州の移民拘留施設で2週間近くを過ごすことになる。
2025年、アメリカは奇妙な既視感に包まれている。家族全員が自宅に避難し、外出を恐れる。子どもたちがiPadの画面で授業を受ける。妊婦が診察をスキップし、自宅出産を検討する。「何も安全ではない」という恐怖感の蔓延——。
これらの光景は、COVID-19パンデミックの2020年を彷彿とさせる。しかし今回は、ウイルスではなくICE(移民税関捜査局)の大規模取締りが、移民コミュニティを「第二のパンデミック」状態に追い込んでいる。
再び始まった「在宅避難」
ロサンゼルスでは、洗車場の労働者たちが職場から姿を消している。労働者権利団体CLEANカーウォッシュワーカーセンターのフロール・メレンドレス事務局長によると、過去数カ月でロサンゼルス地域の100以上の洗車場がICEの手入れを受け、中には5回以上襲撃された場所もある。
「まるで誘拐現場を生きているようなものです」とメレンドレス氏は語る。家族は互いに「家にいろ」と言い合い、外は安全ではないと感じている。
ミネソタ州では、小児科医のブライアン・フェイト医師の待合室に「不気味な静寂」が漂う。家族がICEに捕まることを恐れて、子どもの健診をスキップしているからだ。実際に来院する子どもたちは、以前より重篤な状態になっている。
「自宅で感染症が悪化するケースを確実に見ています」とフェイト医師は言う。「親は子どもの健康と家族の安全のバランスを取らなければならず、それは恐ろしい選択です」
教育現場の分断
ミネソタ州セントポール市では、1月下旬に遠隔授業の選択肢を提供し始めると、一部の学校で50%の家族がバーチャル学習を選択した。ロサンゼルスやノースカロライナ州シャーロットの学区でも同様の措置が取られている。
「パンデミックとの比較は避けられません」と同市学区のヴァローラ・ウノウスキー上級学術責任者は語る。しかし「パンデミック中は誰もが同じ状況でした」。今回は、既に脆弱だった学生たち——低所得で、英語を第二言語として学ぶ可能性が高い生徒たち——が、友達と一緒の教室ではなくiPadで学習する可能性が高い。
医療現場でも同様の状況が起きている。チルドレンズ・ミネソタなどの病院では、対面受診を恐れる患者向けにバーチャル診療を提供している。しかし「バイタルサインを測定し、診察を行い、目の前で子どもを見る必要がある診察もあります」とフェイト医師は指摘する。
日本から見た「分断社会」の教訓
日本社会にとって、この状況は複数の示唆を与える。まず、外国人労働者への依存が高まる中、彼らの社会統合の重要性である。日本の建設業、介護業、農業などで働く技能実習生や特定技能労働者が、もし同様の恐怖を感じることになれば、社会基盤そのものが揺らぎかねない。
また、COVID-19で学んだ「社会の結束」の価値が改めて問われている。パンデミック中、日本は比較的統一された対応を取ったが、アメリカの現状は政策が社会を分断し、最も脆弱な層により大きな負担を課すことを示している。
興味深いのは、危機時に生まれた支援ネットワークの復活だ。シカゴの食料配布団体ナリッシング・ホープは、COVID-19時にリグリー球場で食料配布を行った経験を活かし、ICEの影響を受けた家族への宅配サービスを拡充している。これは、日本の地域コミュニティや企業が災害時に見せる相互扶助の精神と通じるものがある。
記者
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