人類は再び月へ——新しい宇宙競争が始まった
NASAのアルテミスIIが4名の宇宙飛行士を月周回軌道へ送り出す。50年ぶりの有人深宇宙探査が示す、宇宙開発の新時代とは何か。日本にとっての意味を読み解く。
1972年12月。アポロ17号の宇宙飛行士ハリソン・シュミットが月面を歩いた最後の人間となってから、すでに半世紀以上が過ぎました。
その沈黙が、今夜破られようとしています。
アルテミスIIが切り開く「次の50年」
日本時間2026年4月2日早朝、NASAはアルテミスIIミッションを打ち上げます。4名の宇宙飛行士(米国人3名、カナダ人1名)を乗せた宇宙船オリオンが、10日間にわたって月を周回する計画です。着陸はしません。しかし、この飛行は人類が「深宇宙」へと踏み出す、アポロ計画以来初めての有人ミッションとなります。
アルテミス計画は全5ミッションで構成されています。今回のアルテミスIIはその第2弾。人間が実際に月面に降り立つのはアルテミスIV(2028年予定)、そして月面基地の建設に着手するのはアルテミスVの段階とされています。NASAが先週発表した計画によれば、この月面基地の建設費用は200億ドル(約3兆円)に上る見込みです。
しかし、アルテミス計画の本当の目的地は月ではありません。火星です。月はあくまで「中継地点」——長期宇宙旅行が人体に与える影響を研究し、生命維持システムや通信・航法技術を実証するための実験場と位置づけられています。月の南極付近に存在する大量の氷(2008年に初めて確認)を、飲料水や燃料、さらには呼吸用の酸素に転換できる可能性も研究者たちは示唆しています。
「宇宙競争」は今、どこが違うのか
半世紀前の宇宙開発競争は、米ソの冷戦という地政学的文脈の中にありました。では今回は何が違うのでしょうか。
最も大きな変化は、民間資本の参入です。過去10年間、プライベートエクイティは宇宙関連企業へ数千億ドル規模の投資を行ってきました。アルテミス計画においても、NASAはボーイング、ロッキード・マーティン、イーロン・マスクのSpaceX、ジェフ・ベゾスのブルー・オリジンの技術に大きく依存しています。2024年2月に月面着陸を果たした無人探査機「オデュッセウス」を製造したのも、テキサス州の民間エンジニアリング企業インテュイティブ・マシーンズでした。
一方で、地政学的な緊張が完全に消えたわけではありません。元NASA長官のビル・ネルソン氏はポリティコ誌に「宇宙競争が起きていることは事実だ」と語り、中国が月面の領土を主張しようとする可能性に警鐘を鳴らしました(1967年の宇宙条約はそれを禁じていますが)。
実際、2023年以降、ロシア、インド、中国、日本、韓国の政府機関や民間企業が相次いで月探査ミッションを実施しています。韓国は2022年に初の月周回衛星「ダヌリ」を打ち上げ、日本もJAXAの月着陸実証機「SLIM」が2024年に着陸に成功しました。宇宙は今や、一国が独占できる領域ではなくなっています。
日本にとって、この「新しい宇宙」は何を意味するか
日本の視点から見ると、この宇宙開発の新潮流は複数の意味を持ちます。
まず、技術と産業の機会です。JAXAはアルテミス計画に参加しており、将来的に日本人宇宙飛行士が月面に立つことも合意されています。三菱重工やIHIなどの企業は宇宙輸送システムへの参入を模索しており、月面インフラ建設という数兆円規模の市場は、日本の製造業にとって無視できない機会です。
次に、資源安全保障の観点です。月面に存在するヘリウム3などの希少資源は、将来の核融合エネルギーの原料として注目されています。資源に乏しい日本にとって、宇宙資源の確保は長期的なエネルギー戦略と切り離せない問題になりえます。
ただし、課題もあります。日本の宇宙予算は米国や中国と比較して依然として小規模であり、民間宇宙企業のエコシステムも発展途上です。スペースワンやインターステラテクノロジズといったスタートアップが台頭しつつありますが、SpaceXのような規模には遠く及びません。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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