イラン抗議デモで6000人以上が死亡、市民が語る「前例のない弾圧」
イラン当局による抗議デモ弾圧で6000人以上が死亡。市民の証言から見える暴力の実態と、国際社会が直面する人権問題の深刻さを分析。
「私の友人たちはみんな同じです。誰もが抗議デモで殺された人を知っています」
テヘラン出身の29歳女性パリサさんの言葉は、今月イランで起きた弾圧の規模を物語っている。人権団体によると、昨年12月末に始まった抗議デモで6000人以上の死亡が確認されており、イスラム共和国史上最も血なまぐさい弾圧となった。
経済デモから政治変革要求へ
抗議デモは12月28日、悪化する経済状況への不満から首都テヘランで始まった。しかし、すぐに政府打倒を求める政治的な抗議へと発展。特に1月8日と9日には全国規模に拡大し、治安部隊が実弾を使用して鎮圧に乗り出した。
テヘラン北部でのデモに参加したパリサさんは「誰も暴力的ではなく、治安部隊と衝突もしなかった。それでも金曜日の夜、彼らは群衆に発砲した」と証言する。彼女が知る26歳の女性は「路上で銃弾の雨を浴びて」殺されたという。
米国を拠点とする人権活動家ニュース機関(HRANA)は、抗議者5804人、子ども92人、政府関係者214人を含む計6159人の死亡を確認したと発表。ノルウェーのイラン人権(IHR)は最終的な死者数が2万5000人を超える可能性があると警告している。
病院で目撃された「戦場のような光景」
24歳のメフディさんは治安部隊による至近距離での殺害を目撃した。「目の前で若い男性が実弾2発で殺されるのを見た。バイクに乗った男たちが散弾銃で若い男性の顔を撃った。その場で倒れ、二度と起き上がらなかった」
特に深刻なのは、治安部隊による散弾銃の組織的使用だ。27歳のパルハムさんによると、抗議者の顔や目を狙った攻撃が横行。友人のシナさん(23歳)は額と目に散弾を受け、現在も目の後ろと額に散弾が残っている。
眼科病院のカフェ従業員は「1回のシフトで70人の目の負傷者が運び込まれた」と証言。医療記録からも、多数の抗議者が散弾による重傷を負ったことが確認されている。
遺体返還の条件として「治安部隊員認定」を要求
当局は犠牲者の遺体を家族に返還する際、異常な条件を提示している。メフディさんの友人の従兄弟が殺された際、当局は「10億トマン(約50万円)を支払うか、彼を治安部隊員として記録することに同意するか」の選択を迫った。
イスファハン出身のナビドさん(38歳)も同様の証言をしている。「数千ドル相当を支払うか、バシジ(民兵)のカードを発行して治安部隊の死者として計上させるかだ」
この慣行は遺族への懲罰と同時に、真の死者数を隠蔽する目的があると人権団体は指摘している。
情報遮断が生んだ「デジタル孤立」
ほぼ完全なインターネット遮断により、市民は情報から切り離された。サハルさん(27歳)は「今は全く情報がない。インターネットも電話回線もなく、誰に何が起きているか分からない」と語る。
この通信遮断は、国際社会による監視を困難にし、当局による弾圧を隠蔽する効果を持った。BBCなど多くの国際メディアはイラン国内での取材を禁じられており、市民からの証言と映像が唯一の情報源となっている。
記者
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