ラマダンの夕食時、カブール薬物更生施設にパキスタン軍が空爆
パキスタン軍によるカブールの薬物更生施設への空爆で約400人が死亡か。生存者の証言、パキスタンの主張、そして問われる国際人道法の現実を多角的に検証します。
「夕食を配膳していたとき、大きな爆発音が聞こえた」——20代の患者モハンマド・シャフィーは、そう振り返る。彼が調理場から逃げ出し、後に戻ってきたとき、食堂にいた仲間のほぼ全員が倒れていた。生き残ったのは5人だけだった。
2026年3月17日月曜日の夜21時頃、アフガニスタンの首都カブールにある薬物依存症更生施設「オミード中毒治療病院」が、パキスタン軍の空爆を受けた。イスラム教の断食月ラマダン中、患者たちが夕食(イフタール)を終えた直後の出来事だった。タリバン政府は死者数が約400人に上ると発表しているが、この数字はまだ確認されていない。カブール法医学部門には少なくとも100体の遺体が搬送されており、多くは損傷が激しく身元確認が困難な状態だという。
廃墟に残された問い——なぜ病院が標的に?
この施設は約10年前まで「キャンプ・フェニックス」として知られ、米軍とNATO軍がアフガニスタン国軍の訓練に使用していた軍事拠点だった。米軍撤退後、2016年頃にアフガニスタン共和国政府が薬物依存症の更生施設へと転用。2021年のタリバン政権奪取後も、路上の薬物依存者を収容・更生させる施設として機能し続けた。
定員は2,000人だったが、タリバン政権が街頭で依存者を一斉収容した結果、一時は5,000人以上が詰め込まれていたとされる。一部の部屋には100人近くが収容されていたという元入所者の証言もある。
パキスタン政府は、施設を意図的に攻撃したという主張を「まったく根拠がない」と否定し、「軍事施設とテロ支援インフラを精密攻撃した」と主張している。しかし施設内にいた警備員のオミード・スタニクザイさん(31歳)は、「周囲には軍部隊がいた。軍部隊がジェット機に向けて発砲したとき、ジェットが爆弾を投下し火災が発生した」とAFP通信に語っている。この証言は、施設周辺に武装勢力が存在した可能性を示唆するものだが、それが病院への攻撃を正当化するかどうかは別問題だ。
現場では翌朝も救助隊が煙の上がる瓦礫の中から遺体を掘り出し続けた。壊れた椅子やベッドが瓦礫から突き出し、毛布や所持品が散乱していた。9人の子を持つある女性は、7ヶ月以上施設に入所していた夫の消息を求めて現場に駆けつけた。「グル・ミールはここで治療を受けていた。昨夜の攻撃以来、何の情報もない」と彼女はBBCに語った。
「数ヶ月に及ぶ敵対行為」の果てに
この空爆は、突然起きた孤立した事件ではない。パキスタンとアフガニスタンの間では、数ヶ月にわたって緊張が高まっていた。イスラマバードはカブールが、パキスタン国内を攻撃する武装勢力——主にテフリク・エ・タリバン・パキスタン(TTP)——をかくまっていると非難してきた。タリバン政府側はこれを否定している。
国連は双方に自制を求めているが、国連当局者によれば、2月下旬以降のアフガニスタン側での敵対行為の激化により、少なくとも6つの医療施設が影響を受けたとされる。今回の攻撃はその中で最大規模のものとなった。
アフガニスタンはかつて世界最大の違法アヘン生産国であり、薬物依存は深刻な社会問題だ。タリバン政権は麻薬栽培の禁止を宣言しているが、その一方で大規模な強制収容という手法で依存者を施設に送り込んできた。その施設が今、爆撃によって灰燼に帰した。
誰が何を失ったか——それぞれの立場から
国際人道法の観点から見ると、この攻撃は深刻な問題を提起する。医療施設への攻撃は、たとえ軍事目標との近接が証明されたとしても、民間人への被害が過大であれば違法となりうる。パキスタンの「精密攻撃」という主張と、400人もの死者が出た現実の間には、大きな乖離がある。
タリバン政府にとっては、国際社会への訴えかけの機会でもある。国際的な孤立を続けてきたタリバン政権が、今回の事件を外交的に利用しようとする動きは避けられないだろう。しかし、施設の過密状態や強制収容という運営実態は、人権団体からの批判も招いてきた。
パキスタン国内では、TTPによる攻撃が市民生活を脅かしており、政府には強硬策を求める国内圧力がある。「テロとの戦い」という文脈での行動は、国内向けには一定の正当性を持ちうる。
日本を含む国際社会にとって、この事件は「人道支援の届かない空間」の問題を改めて突きつける。日本はアフガニスタンに対してNGOや国連機関を通じた人道支援を続けてきたが、このような攻撃が繰り返されれば、支援活動の安全確保は一層困難になる。アフガニスタン復興支援に関与してきたJICAや日本のNGOにとっても、現地での活動環境の悪化は切実な問題だ。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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