なぜクリスマスにキス？ヤドリギの下のロマンチックな伝統、その意外な起源

12月のパーティーで、ドアの枠の下で誰かのキスを待っていた…そんな経験はありませんか？控えめな緑の小枝、ヤドリギは、いつの間にかホリデーシーズンの公式な「恋のキューピッド」になりました。しかし、なぜ私たちはその下でキスをするのでしょうか。実は、ヤドリギは非常に古くから人類の歴史に関わってきました。

神話と古代の起源

ヤドリギがドアに飾られるずっと以前、それは魔法の力を持つと信じられていました。古代ギリシャ人やローマ人は、けいれんから毒消しまで、あらゆる治療に用いるなど、強力な治癒力があると信じていたのです。他の植物が枯れる冬でも青々と茂り、実をつける姿は、超自然的な存在にさえ感じられました。

しかし、ヤドリギのロマンチックなイメージを確立したのは、ケルトのドルイド教徒でした。西暦1世紀頃、彼らはヤドリギを生命力と豊穣の神聖なシンボルと見なしていました。地面からではなく、木の高い場所で育つことから、天と地の間に存在する特別な植物だと考えていたのです。また、北欧神話には悲劇的でロマンチックな物語が伝えられています。愛の女神フリッグが息子バルドルを守るため、自然界の万物に彼を傷つけないと約束させましたが、ヤドリギだけを忘れてしまいました。悪戯好きの神ロキはこれを利用してバルドルを死に至らしめた、という伝説です。後の物語では、バルドルが生き返り、安堵したフリッグがヤドリギを愛のシンボルとし、その下を通る者すべてにキスをすると宣言した、とされています。

近代的なキス文化の始まり

歴史家の間では、ヤドリギの下でキスをする習慣は1700年代初頭から後半にかけてのイギリスで始まったというのが一般的な見解です。興味深いことに、それ以前の文献ではヤドリギに関する様々な迷信が語られていますが、キスについては一切言급がありません。

19世紀には、この習慣はポップカルチャーに完全に浸透しました。イギリスでは、キスをするたびにヤドリギから実を1つ摘み取り、実がなくなるとキスの権利も失われる、という奇妙で具体的なルールが存在しました。キスを拒むことは不運を招くと考えられていましたが、幸いにも現代では個人の意思が尊重されます。この伝統がアメリカに渡ったのは、作家ワシントン・アーヴィングのおかげです。彼が1800年代初頭にイギリスのクリスマスの習慣を記録した著作が大ヒットし、私たちが今日知るクリスマスの形を築く一助となりました。

ただし、一つ注意点があります。ヤドリギの実は有毒です。装飾品を口にしないよう、くれぐれもご注意ください。