テスラ、中国で値下げ断行。EV価格競争が全面戦争へ
テスラが中国で主力EVを最大13.5%値下げし、BYDなど現地メーカーも追随。成長が鈍化する世界最大のEV市場で、収益性をかけた全面的な価格競争が始まります。
電気自動車(EV)最大手の「テスラ」が先週、世界最大の自動車市場である中国で主力モデルの大幅な値下げに踏み切りました。これを受け、「BYD」などの現地メーカーも追随する構えを見せており、市場の熾烈な価格競争は避けられない見通しです。減速する需要と激化する競争を背景に、各社の収益性が試される局面に入りました。
テスラの先制攻撃:高い利益率を武器に
関係者によると、「テスラ」は中国で販売する「モデル3」と「モデルY」の価格を「6%」から「13.5%」引き下げました。これにより、「モデル3」の最低価格は従来の「26万5900元」から「22万9900元」(約3万3427ドル)となり、過去最安値を更新しています。この大胆な戦略の背景には、同社の高い収益力があります。第3四半期の「テスラ」の粗利益率は「27.9%」に達しており、競合他社を圧倒。この利益を元手に、市場シェアを維持・拡大するために価格競争を仕掛けた格好です。
中国勢の反撃と苦悩
「テスラ」の動きに対し、中国の競合各社もすぐさま反応しました。EV販売で世界首位を争う「BYD」は、主力モデルに最大「1万元」(約1450ドル)の保険料補助を提供。新興EVメーカーの「シャオペン(XPeng)」もSUV「G9」を「5%」値下げするなど、追随の動きが広がっています。しかし、彼らの収益性は「テスラ」に及びません。「BYD」の2025年上半期の粗利益率は「18%」にとどまり、「ニオ(NIO)」や「シャオペン」はさらに低い水準です。体力勝負となれば、中国勢は厳しい戦いを強いられることになります。
市場減速が招く淘汰の波
この価格競争の背景には、中国EV市場の成長鈍化があります。中国乗用車協会(CPCA)の予測によると、2026年の中国におけるEV販売台数の伸び率は「31%」と、前年の「96%」から大幅に減速する見込みです。市場のパイの伸びが鈍化する中、各社は限られた需要を奪い合うことになります。アナリストは、この価格競争が業界再編の引き金となり、収益性の低い企業は淘汰される可能性があると指摘しています。
今回の値下げは、単なる価格競争ではなく、テスラが圧倒的な利益率を武器に競合をふるいにかける「消耗戦」の号砲と見るべきでしょう。生産効率とサプライチェーン管理能力が、今後のEV市場での生き残りを左右する決定的な要因となりそうです。
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