ロシアの盟友ベラルーシ、米国へ急接近。制裁解除と引き換えに政治犯を釈放
ロシアの同盟国ベラルーシが、米国との関係改善に乗り出している。ルカシェンコ大統領は、主要輸出品への制裁解除と引き換えに、ノーベル平和賞受賞者を含む123人の政治犯を釈放。ロシア依存からの脱却を目指す「多方位外交」の行方は。
ウクライナでの戦争が長期化する中、ロシアの欧州における唯一の同盟国であるベラルーシが、米国との関係改善を模索している。長年ロシアへの依存が続いてきたが、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、ロシア、西側諸国、そして中国との間でバランスを取る伝統的な「多方位外交」の復活を試みているようだ。この動きは、2025年を通じて政治犯の釈放という具体的な形で現れている。
雪解けへの布石:相次ぐ「人道的ジェスチャー」
関係改善に向けた動きは、2025年初頭から見られた。サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道によると、ルカシェンコ大統領は3月にドナルド・トランプ米大統領を公然と称賛。その後、複数の政治犯を段階的に釈放する「人道的ジェスチャー」を重ねてきた。
経済制裁解除という「見返り」
一連の動きは、米国側の態度軟化に繋がった。9月にルカシェンコ大統領と会談したトランプ大統領の代理人ジョン・コール氏は、ミンスクの米国大使館再開や経済関係正常化の可能性を示唆。これは、2020年の大統領選挙や2022年のウクライナ侵攻への間接的加担を理由に課された制裁の緩和を示唆するものだった。
そして今月、決定的な進展があった。コール氏はルカシェンコ大統領との再会談後、米国がベラルーシの主要輸出品であるカリウム肥料への制裁を解除すると発表。その見返りとして、ベラルーシ当局はノーベル平和賞受賞者のアレシ・ビャリャツキ氏や反体制派の重鎮マリア・コレスニコワ氏を含む123人の政治犯を釈放した。
ルカシェンコ大統領の動きは、ロシアの国力低下を見越した生存戦略の一環とみられる。しかし、ロシアとの軍事・経済的な結びつきは依然として強く、西側との関係改善には限界がある。米国としても、ロシアの影響圏に楔を打ち込む好機と捉えているが、ベラルーシの人権問題をどこまで黙認するかというジレンマを抱えている。
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