円安進行、1ドル157円台後半へ。日本政府「あらゆる選択肢を排除せず」介入を強く示唆
日銀の利上げ後も円安が止まらず1ドル157円台に。三村財務官らが「過度な変動」への対抗措置を示唆し、為替介入の可能性が浮上。円安の背景と今後の市場への影響を解説します。
リード:円安加速に政府・日銀が警戒強める
日本時間12月22日、円相場が一時1ドル=157円台後半まで下落し、約1カ月ぶりの円安水準を更新したことを受け、日本の通貨当局は「過度な変動」に対して断固たる措置を取る姿勢を鮮明にしました。先週の日本銀行による30年ぶりの高水準となる政策金利(約0.75%)への引き上げにもかかわらず円安が加速したことで、市場では政府・日銀による為替介入への警戒感が一気に高まっています。
官邸・財務省から相次ぐ「口先介入」
発端は、先週末のニューヨーク市場で円が1ドル=157.78円まで売られたことです。これを受け、週明けの今日、三村淳財務官(国際問題担当)は記者団に対し、「一方的で急激な動きに懸念を抱いている」「過度な動きには適切な措置をとる」と述べ、市場を強く牽制しました。
また、木原稔官房長官も同日の記者会見で、「為替相場は(経済の)ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要だ」と指摘。「投機的な動きを含め、あらゆる選択肢を排除せず対応していく」と述べ、政府として円安の動きを注視していることを強調しました。
市場の読み:日銀のメッセージが裏目に?市場関係者の一部は、先週の利上げ後の植田和男・日銀総裁の記者会見が、将来の追加利上げについて明確な手がかりを示さなかったことが、円売りを誘った一因だと見ています。金利引き上げという円高要因がありながら、日米の金利差が当面は大きく縮まらないとの観測が広がり、投機的な円売りにつながった可能性があります。
円安のジレンマ:輸出企業には追い風、家計には逆風
円安は、輸出企業の海外での収益を円換算で押し上げる効果がある一方、資源の乏しい日本にとっては輸入コストの増大に直結します。これにより、食料品やエネルギー価格が上昇し、国民生活を圧迫するという副作用も抱えています。
直近の為替レート
- ニューヨーク市場(12月19日): 1ドル = 157.70-80円
- 東京市場 正午時点(12月22日): 1ドル = 157.42-43円
PRISM Insight:試される日本の介入ライン通貨当局による一連の発言は、市場では「口先介入」と受け止められています。しかし、この警告が効果を発揮せず、投機的な円売りがさらに加速する場合、政府・日銀は実弾(ドル売り・円買い介入)に踏み切る可能性があります。市場は現在、当局が本気で防衛しようとする「介入ライン」がどこにあるのかを探っている状況です。1ドル=160円が心理的な節目として意識される中、今後数日間の当局者の発言と市場の反応が、年末の金融市場の大きな焦点となりそうです。
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