フォロワー30万人、Microsoftペイントで世界を魅了した93歳のおばあちゃんアーティストの物語

なぜ世界は彼女の絵に熱狂したのでしょうか？ 最新のAIアートが日々生まれる中、スペインのコンチャ・ガルシア・サエラさんが使ったのは、誰もが知る「Microsoftペイント」でした。彼女は93歳で亡くなるまで、このシンプルなソフトで驚くほど緻密な風景画を描き続け、Instagramで30万1000人以上ものフォロワーを獲得しました。

1台の古いPCから始まったアート

バレンシア出身のコンチャさんの創作活動は、夫が病に倒れ、その看病をする中で始まりました。家族から贈られた古いパソコンを使い、時間潰しに「ペイント」を使い始めたのがきっかけでした。「私には想像力がないので、夫が送ってくれた絵葉書や、気に入った絵からインスピレーションを得ています」と、彼女は生前メディアに語っています。一つの作品を仕上げるのに約2週間かかったそうです。彼女の絵には、故郷バレンシアへの愛情が細やかな筆遣い一つ一つに込められています。

彼女を一躍有名にしたのは、2017年に孫娘の勧めで開設したInstagramアカウントでした。当初10万8000人だったフォロワーは瞬く間に増え、彼女の温かみのあるアートは世界中に広がりました。コンチャさんは2023年7月20日に亡くなりましたが、その作品は今も多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

「使わなければ衰える」生涯学習の力

コンチャさんの物語は、年齢に関係なく新しいスキルを学び、情熱を注ぐことの重要性を教えてくれます。英国の高齢者支援団体「Age UK」の担当者は、「新しい趣味は社会的なつながりを維持し、孤独感を減らすのに役立ちます。また、認知機能の老化を遅らせる『使わなければ衰える(use it or lose it)』という理論もある」と指摘しています。パズルやゲーム、言語学習など、脳を刺激する活動は、身体の運動と同じくらい重要だということです。