史上最悪のクリスマス? 戴冠式の大火災から独裁者の処刑ショーまで
ウィンストン・チャーチルの秘密の心臓発作から、戴冠式で起きた大火事まで。歴史を揺るがした、忘れられないクリスマスの悲劇と奇妙な事件をご紹介します。
平和と喜びだけではなかった、歴史の裏側
クリスマスといえば、家族や友人と過ごす平和で喜びに満ちた時間。しかし、歴史を振り返ると、この聖なる日が血と混乱、そして奇妙な事件の舞台となったことがありました。国家元首が主催するパーティーが、単なる外交儀礼では済まなかったのです。今回は、あなたの知らない「もう一つのクリスマス」の物語を5つご紹介します。
1. 征服王ウィリアムの燃える戴冠式 (1066年)
1066年のクリスマス、ウィリアム征服王はウェストミンスター寺院でイングランド王としての戴冠式に臨みました。儀式は荘厳に進み、集まった貴族たちが新国王を承認する歓声を上げました。しかし、寺院の外で警備していた兵士たちは、この歓声を暗殺の合図と勘違い。彼らは王を救う代わりに、復讐のために寺院周辺の民家に次々と火を放ったのです。歴史書によれば、瞬く間に火災は広がり、その煙が寺院内に流れ込むと、式典はパニックに陥り、人々は恐怖に駆られて逃げ惑ったと記録されています。
2. スウェーデン王、兄弟を晩餐会で罠にかける (1317年)
1317年のスウェーデン。国王ビルイェルは、長年対立していた2人の弟、エリク公とヴァルデマール公をクリスマスの晩餐会に招待しました。豪華な食事が振る舞われ、和やかな雰囲気で宴は終わったかに見えました。しかし、弟たちが自室に戻ると、そこには国王とクロスボウを持った兵士たちが待ち構えていました。兄弟は捕らえられ、城の地下牢へ。彼らがそこから生きて出ることはなく、餓死したと伝えられています。権力闘争が最も無慈悲な形で現れたクリスマスでした。
3. チャーチルを襲った「国家機密」の心臓発作 (1941年)
真珠湾攻撃のわずか数週間後、英国のウィンストン・チャーチル首相はホワイトハウスでクリスマスを過ごしていました。その目的は、第二次世界大戦における米国の参戦方針に影響を与えるため。しかし、この重要な訪問の最中に、チャーチルは心臓発作を起こします。驚くべきことに、彼の主治医はこの事実をチャーチル本人にさえ伝えませんでした。「英国の指導者が心臓を病み、先行きが不透明だ」という情報が漏れれば、戦争の行方を左右しかねないと判断したためです。この秘密は固く守られ、世界の運命は薄氷の上にあったのです。
4. 独裁者が演出した死のクリスマス (1969年)
赤道ギニアの独裁者フランシスコ・マシアス・ンゲマは、その治世で数々の奇行を重ねました。そして1969年のクリスマス、彼は150人の反体制派を首都マラボのサッカースタジアムに集めました。メリー・ホプキンの「悲しき天使 (Those Were the Days)」がスピーカーから大音量で流れる中、兵士たちが現れ、150人全員を射殺。一部の記録では、兵士たちはサンタクロースの衣装を着ていたとされていますが、この点の真偽は定かではありません。いずれにせよ、これは歴史上最も残忍なクリスマスの悲劇の一つです。
5. カーター大統領、パーティーを緊急離脱した理由 (1978年)
1978年のクリスマス、ジミー・カーター米大統領はホワイトハウスで主催したパーティーの最中に、突然姿を消しました。その理由は、彼を長年悩ませていた「痔」の悪化による激痛でした。もちろん、1000人のゲストにその恥ずかしい事実は明かされませんでした。カーター大統領がこの真相を告白したのは、2001年に出版された回顧録でのこと。ちなみに彼は、症状が緩和されたのはエジプト国民の祈りのおかげだと信じていたそうです。
PRISM Insight: これらのエピソードは、権力の座にある者にとって、祝祭日もまた政治的駆け引きや生死を分ける危機と隣り合わせであることを示しています。平和の象徴であるはずのクリスマスが、リーダーの決断、秘密、そして人間的な弱さが最も露呈する舞台にもなり得るのです。権力は、決して休日を取りません。
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