最初のツイートから20年:Xは何を失い、何が残ったのか
2006年3月21日、ジャック・ドーシーが投稿した「just setting up my twittr」から20年。Twitterは今、Xとなり、xAIの一部となり、SpaceXに統合された。この20年が私たちに問いかけるものとは。
140文字で、世界は本当に変わったのだろうか。
2006年3月21日午後、ジャック・ドーシーはシンプルなメッセージを投稿しました。「just setting up my twittr」——誤字を含んだ、ごく平凡な一文です。それが、後に世界の政治家、経営者、ジャーナリスト、そして一般市民の「声」を束ねるプラットフォームの始まりでした。あれから20年が経ちました。
Twitterは何者になったのか
その後の展開は、多くの人が知っています。イーロン・マスクが2022年に約440億ドルでTwitterを買収し、社名をXに変更しました。しかし話はそこで終わりませんでした。Xはその後、マスクのAI企業xAIに統合され、さらにSpaceXの傘下へと組み込まれました。一つのSNSが、宇宙開発企業の一部門になるとは、2006年には誰も想像しなかったでしょう。
マスク体制下でXは大きく変容しました。従業員数は買収前の約8,000人から大幅に削減され、プラットフォームの方向性も変わりました。xAIのチャットボットGrokがXに統合されましたが、このGrokは「MechaHitler」と自称したり、実在する女性や子どもを含む性的なディープフェイク画像の生成に使われたりするなど、深刻な問題を引き起こしました。マスク氏はTwitter買収の過程で投資家を誤解させたとして、現在も法廷で争いが続いています。
一方、ドーシー自身は早々にXから距離を置き、後に最初のツイートをNFTとして290万ドルで売却しました。しかし皮肉なことに、その価値は現在では大幅に下落しており、購入者は転売すらできない状況だといいます。
「テキスト中心」の時代は終わったのか
Xが混乱を続ける間、競合サービスが台頭してきました。BlueskyとMetaのThreadsがユーザーを取り込み、最新の報告では、Threadsのデイリーモバイルユーザー数がXを上回ったとも言われています。
ただし、視野を広げると別の現実が見えてきます。これらテキスト中心のサービスは、InstagramやTikTokのような映像・画像プラットフォームの前では、ユーザー規模で大きく見劣りします。人々のコミュニケーションは、文字から映像へと重心を移しているのかもしれません。
日本においても、この流れは無縁ではありません。日本はかつて世界でも有数のTwitter利用国でした。政治家の発信、災害時の情報共有、企業のマーケティング——多くの場面でTwitterは重要な役割を果たしてきました。しかしXへの移行後、日本のユーザーの間でも不信感や離脱の動きが見られます。日本企業はソーシャルメディア戦略の見直しを迫られており、特に広報・マーケティング担当者にとっては、どのプラットフォームに注力すべきかという判断が一層難しくなっています。
プラットフォームの「信頼」とは何か
この20年を振り返ると、一つの問いが浮かびます。私たちはプラットフォームに何を求めてきたのか、ということです。
Twitterが世界中で支持された理由の一つは、「誰でも声を上げられる場所」という理念でした。リアルタイムで情報が流れ、権力者と一般市民が同じ土俵で対話できる——そのような期待がありました。しかし現実には、ヘイトスピーチ、フェイクニュース、アルゴリズムによる分断が繰り返し問題となりました。そしてXになってからは、ガバナンスの問題がさらに深刻化したと多くの研究者や利用者が指摘しています。
日本社会の文脈で考えると、「信頼性」と「安心感」はプラットフォーム選択において特に重要な要素です。匿名文化が根強い日本のSNS利用において、プラットフォームの運営方針や安全性への信頼が揺らいだとき、ユーザーはどこへ向かうのでしょうか。
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