西側の偽善が消えた世界で何が起こるか
トランプ政権下で米国が道徳的正当化を放棄する中、国際秩序の根本的変化が世界に与える影響を探る。偽善の消失がもたらす新たなリスクとは。
47年間続いた国際秩序の暗黙のルールが、いま根底から覆ろうとしています。
今月、カナダのマーク・カーニー首相がダボス会議で行った演説は、西側諸国が長年維持してきた「ルールに基づく国際秩序」の終焉を宣言するものでした。彼が指摘したのは、西側諸国が数十年にわたって「偽善的」なシステムを運用してきたという厳しい現実です。
偽善が果たしていた意外な役割
カーニー首相の分析によれば、西側諸国は自由主義的理念を掲げながら、実際にはそれらを選択的に適用してきました。自由貿易を推進しながら、自国に有利な形で実施し、国際法と人権を語りながら、友好国と敵対国に対して異なる基準を適用してきたのです。
しかし、この「偽善」は単なる欺瞞以上の機能を果たしていました。冷戦時代を通じて、アメリカが民主主義と人権の言葉で自国の指導的地位を正当化する際、その言葉は同時に制約としても機能したのです。同盟国や非同盟諸国は、アメリカの修辞を引用してその行動を批判し、原則と実践の一貫性を要求することができました。
1975年のチャーチ委員会による情報機関の調査は、まさにこうした圧力の産物でした。国内外からの監視により、アメリカの諜報活動に対する監督が強化され、外交政策における人権の考慮が意味のあるものとなったのです。
トランプ時代の「道徳なき外交」
現在のトランプ政権下で起こっているのは、こうした道徳的正当化の完全な放棄です。以前の政権が法的正当性や普遍的価値観の言葉でアメリカの力を覆い隠していたのに対し、ワシントンは今や露骨に取引的な言葉で外交政策を擁護しています。
2018年のイラン核合意からの離脱において、トランプ氏はテヘランが国際規範に違反したとか、合意が地域の安定を危険にさらしたとは主張しませんでした。単に「アメリカにとって悪い取引」だと切り捨てたのです。サウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギの殺害事件に直面した際も、戦略的必要性ではなく、武器売却とアメリカの雇用への利益を理由に関係継続を擁護しました。
第二期政権では、この傾向がさらに顕著になっています。グリーンランド獲得をめぐってデンマークなど8つのヨーロッパ同盟国に関税で脅しをかけた際、共通利益や同盟義務ではなく、明確に「レバレッジ」として位置づけました。
日本が直面する新たな現実
日本にとって、この変化は特に重要な意味を持ちます。戦後日本の外交は、アメリカが掲げる価値観との整合性を重視し、「法の支配」や「自由で開かれたインド太平洋」といった理念を共有することで影響力を行使してきました。
しかし、アメリカが原則的正当化を放棄する世界では、日本のような中堅国が従来の外交手法を維持できるかが問われています。カーニー首相は中堅国が特定の自由主義的価値を維持できると主張しましたが、アメリカが残した「残骸」から価値観に基づく国際体制を再構築することが可能かは全く不明です。
トヨタやソニーといった日本企業も、予測可能なルールではなく、力関係で決まる取引の世界に適応を迫られています。従来の多国間協定や国際基準への依存から、より直接的な二国間交渉への転換が必要になるかもしれません。
偽善の消失がもたらす危険
一見すると、道徳的正当化の放棄は効率的に見えます。偽善が信頼性を損ない反発を招くなら、道徳的主張を放棄することで、より効率的に力を行使できるように思われます。
しかし、この効率性には代償が伴います。大国が自らの行動を正当化する必要を感じなくなると、正当性をめぐる議論だった紛争が、単なる力の試験へと変質します。制裁措置がその典型例です。従来の体制下では、制裁を科す国は、その措置が特定の違反に対応し、共有されたルールに適合していることを説明する必要がありました。
本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。
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