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子宮を体の外で生かす——「母」と呼ばれる機械
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子宮を体の外で生かす——「母」と呼ばれる機械

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スペインの研究チームが、摘出した子宮を24時間生存させることに成功。子宮外妊娠の実現も視野に入れるこの装置は、不妊治療や子宮疾患の研究に何をもたらすのか。

生まれてくる命の最初の瞬間は、いまだに謎に包まれている。

受精卵が子宮内膜に着床する——たったそれだけのことが、なぜうまくいかないのか。体外受精(IVF)の技術がどれほど進歩しても、この「着床の壁」は依然として多くの不妊治療を失敗に終わらせている。スペイン・バレンシアにあるカルロス・シモン財団の研究チームは、その謎を解くために、人類がかつて試みたことのないアプローチを選んだ。子宮を、体の外で生かし続けることだ。

「母」と名付けられた装置

研究者のハビエル・ゴンサレスが「これは人体のようなものです」と説明するその装置は、一見するとステンレス製の調理台のような金属の箱だ。高さ約1メートル。表面には透明なチューブが張り巡らされ、複数の透明な容器が接続されている。チューブは血管の役割を果たし、容器はそれぞれ臓器に見立てられている。

装置の正式名称はPUPER(「灌流による子宮の保存」を意味する)。しかしチームはこれに愛称をつけた——「マザー(Mother)」と。

仕組みはこうだ。一方に血液バッグが吊るされ、ポンプが心臓の役割を担う。血液は酸素添加装置(肺の代わり)を通り、温められ、グルコースや酸素の濃度を監視するセンサーを経て、老廃物を除去する「腎臓」へと流れる。最終的に、専用の「動脈」と「静脈」に接続された子宮へと届けられる。子宮は体内と同じように傾いた状態で置かれ、乾燥を防ぐため湿度が保たれている。

チームはまず4年前、羊の子宮を使った試験を開始した。ザラゴサの動物研究施設まで装置を運び、6頭の羊から摘出した子宮を接続。いずれも24時間の生存に成功した。その後、装置を改良し、バレンシアの地元病院から子宮摘出手術(子宮全摘術)で得られた子宮の提供を受けることになった。

2025年5月、チームは初めて人間の子宮を装置に接続した。摘出後数時間以内に接続し、血液銀行から入手した人血を使用。結果は——24時間の生存。研究チームにとって、これは「概念実証」として十分な成果だった。

なぜ今、これが重要なのか

「24時間」と聞いてもピンとこないかもしれない。しかし臓器医療の文脈では、これは決して小さな数字ではない。

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現在、臓器は体外に出るとわずか数時間しか生存できない。そのため臓器移植は、ドナーが見つかった瞬間から深夜であっても準備を急ぐ「時間との戦い」になる。機械灌流(normothermic perfusion)と呼ばれるこの技術は、すでに肝臓・腎臓・心臓の移植で臨床応用されており、保存時間の延長によってより良いドナーとレシピエントのマッチングを可能にしている。

子宮においてこの技術が確立されれば、まず子宮移植の選択肢が広がる。子宮移植は、子宮を持たない人や機能しない子宮を持つ人が妊娠を望む場合に行われる比較的新しい手術だ。現在は主に生体ドナーからの移植が主流だが、保存時間が延びれば死亡ドナーからの移植も現実的になる。オーストリア・インスブルック医科大学のジェラルド・ブランダッハー教授は「現状では数時間しかないところ、これは改善だ」と評価する。

しかしチームの本命は、移植よりも研究にある。

着床の謎、そして「体外妊娠」という遠い夢

チームが目指すのは、子宮を28日間——つまり月経周期1サイクル分——生存させることだ。これが実現すれば、子宮内膜症や子宮筋腫といった疾患の研究が、生きた臓器を使って行えるようになる。

さらに野心的なのが「着床」の研究だ。受精卵が子宮内膜に潜り込む瞬間——妊娠の最初の一歩——を、体外の子宮で再現しようというのだ。倫理的な理由から人間の胚は使えないため、チームは幹細胞から作られた「胚様構造体」を代わりに使用する計画だ。これは精子や卵子を使わずに実験室で作られた、胚に酷似した細胞構造体だ。

そして財団の創設者・カルロス・シモンは、さらに先を見据えている。いつか「マザー」の発展型が、受精卵から新生児まで、人間の妊娠全過程を体外で完結させる装置になり得ると考えている。「体の外での子宮内妊娠が実現するかどうかはわからない。でも少なくとも、そのすべてのステップを理解する準備はできている」と彼は言う。

もっとも、この道のりは長い。肝臓でさえ7日間以上の機械灌流維持は報告されていない。28日間の維持は、技術的に全く別次元の挑戦だ。

多様な視点から見る

タフツ大学の生命倫理学者ケレン・ラディンは「概念実証として印象的だ。まだ初期段階だが」と慎重に評価する。技術の可能性と同時に、倫理的な問いも浮かび上がる。

日本の文脈で考えると、この研究はいくつかの社会的課題と交差する。日本は世界有数の少子化社会であり、不妊治療の需要は高い。厚生労働省のデータによれば、2022年に体外受精で生まれた子どもは約7万7千人と過去最多を更新し、出生数全体の約11人に1人に達している。着床成功率の向上は、日本社会にとっても切実なテーマだ。

一方、「体外妊娠」という概念は、日本社会の家族観や生命倫理観と複雑に絡み合う。代理出産が法的に認められていない日本では、子宮を持たない人が子どもを持つ選択肢は極めて限られている。この技術の延長線上にある「人工子宮」は、その議論を根本から変える可能性を持つ。

企業の視点では、臓器灌流装置の市場は世界的に拡大しており、医療機器メーカーにとっても注目分野だ。ただし、今回の研究はまだ論文未発表の段階であり、商業化への道のりは遠い。

本コンテンツはAIが原文記事を基に要約・分析したものです。正確性に努めていますが、誤りがある可能性があります。原文の確認をお勧めします。

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