「再移住(レミグレーション)」とは何か?トランプ政権2年目、欧米で広がる言葉の危険な意味
かつて極右の過激思想だった「再移住(レミグレーション)」が、トランプ政権下のアメリカやヨーロッパで勢いを増している。その言葉の起源と、民族浄化につながりかねない危険な意味を解説する。
移民の自発的な帰国か、それとも非白人層の強制送還か? かつて極右の過激思想と見なされた「再移住(レミグレーション)」という言葉が、2期目を迎えたドナルド・トランプ大統領下のアメリカ共和党やヨーロッパの政治シーンで影響力を増しています。この言葉が主流になることで、何が起きようとしているのでしょうか。
「再移住」を巡る対立
この議論は、アメリカ国内でも鮮明になっています。先週、共和党の知事候補であるヴィヴェック・ラマスワミ氏は、「伝統的なアメリカ人」という概念こそが非アメリカ的だと主張しました。一方で、トランプ政権下ではこの流れが加速しています。2025年5月にAxiosが報じたところによると、国務省は「再移住局」の設立を検討。さらに10月14日には、国土安全保障省が移民の自主的な国外退去を促すアプリへのリンクと共に「再移住せよ」とSNSに投稿したとされています。
言葉の二重性:自発的帰国か、民族浄化か
「再移住」は、文脈によって意味が大きく異なります。広義には、移民が自らの意思で母国へ帰ることを指します。しかし、極右運動の文脈では、これは民族浄化の手法を指す言葉として使われます。白人民族主義者にとって、それは全ての非白人系住民を「歴史的に白人の国」と見なす国々から強制的に排除するプロセスを意味します。
この思想の起源は、1930年代後半のナチス・ドイツがユダヤ人をマダガスカルへ「再移住」させようとした計画に遡ります。現代においてこの概念を広めたのは、フランスの作家ルノー・カミュ氏が2011年に提唱した陰謀論「グレート・リプレイスメント(大置換)」です。これは、エリート層が大量移民を通じて西洋の白人キリスト教徒を非白人、主にイスラム教徒に置き換えようとしている、というものです。
ヨーロッパで共鳴する動き
この動きはヨーロッパでも顕著です。オーストリアの極右政党「自由党(FPÖ)」の党首ヘルベルト・キックル氏は、2024年9月の選挙で「再移住」を公約に掲げました。また、ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、「夏、太陽、再移住」というスローガンを掲げたポスターを使用しています。
専門家は、この言葉が政策として実行されれば「民族浄化を通じて全白人国家を創設する試み」になると警鐘を鳴らしています。極右思想家マルティン・ゼルナー氏によって広められたこの概念が、今やアメリカ政府の一部で検討されている事実は、多くの専門家にとって驚きをもって受け止められています。
記者
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