2025年ミャンマー総選挙：軍事政権下の「形だけの投票」と深まる分断

投票所に向かう足取りは重く、心はそこにはありません。明日、2025年12月28日、クーデターから5年が経過したミャンマーで、軍事政権主導の総選挙が強行されます。軍の支援を受ける連邦連帯発展党（USDP）の集会には数百人が集まりましたが、その表情に熱気はなく、厳しい監視の目が光る中での「動員」という実態が浮き彫りになっています。

民主派不在の「偽りの選挙」

BBCに寄せられた現地報告によると、この選挙は国際社会から「まやかし（Sham）」として広く非難されています。かつての与党で圧倒的な人気を誇った国民民主連盟（NLD）は解党に追い込まれ、指導者のアウン・サン・スー・チー氏は依然として拘束されたままです。さらに、現在も激しい内戦が続く中、国土の半分近くでは投票すら不可能な状況にあります。

中国の支援と将軍の賭け

軍政トップのミン・アウン・フライン総司令官は、この選挙を通じて国際的な正当性を獲得しようと画策しています。注目すべきは、中国がこの多党制選挙に対し、技術的・財政的な支援を行っている点です。ACLEDのデータによれば、クーデター以降の死者は9万人を超えていますが、軍は中国製やロシア製の最新兵器を用いて失地を回復し、選挙の強行に自信を深めている模様です。