サンフランシスコ大停電、Waymoの自動運転タクシーが路上で停止。スマートシティの脆弱性が浮き彫りに
サンフランシスコで発生した大規模停電により、Waymoの自動運転タクシーがサービスを停止。複数の車両が路上で立ち往生し、交通を混乱させました。スマートシティを支えるインフラの脆弱性が問われています。
米サンフランシスコで現地時間土曜の夜に発生した大規模な停電により、アルファベット傘下のWaymoが提供する完全自動運転タクシーサービスが一時中断される事態となりました。複数の車両が交差点などで停止し、交通渋滞を引き起こしたとの目撃情報が相次いでいます。
地元メディア「The San Francisco Standard」によると、今回の停電はパシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社(PG&E)の変電所で発生した火災が原因で、サンフランシスコの住民の約3分の1が数時間にわたり影響を受けました。停電中、ソーシャルメディアにはWaymoの車両が機能を停止し、交差点を塞いでいる様子を撮影した写真や動画が投稿されました。
この状況を受け、Waymoは同日夜にサンフランシスコでの配車サービスを一時的に停止したと発表。「Mission Local」が報じています。Waymoの広報担当者、スザンヌ・フィリオン氏はMashableへの電子メール声明で、「広範囲にわたる停電のため、サンフランシスコ・ベイエリアでの配車サービスを一時的に停止しました。私たちのチームは市当局と緊密に連携しながら鋭意対応にあたっており、早期のサービス再開を目指しています」と述べました。
PG&Eの復旧マップによれば、電力は土曜の午後9時10分頃から復旧し始めましたが、日曜の早朝時点でも一部地域では停電が続いていました。Waymoは、なぜ停電によって車両が停止したのか、また影響を受けた車両の割合など具体的な詳細を明らかにしていません。
Waymoを巡っては、最近問題が相次いでいます。今月だけでも、対向車線にまっすぐ進入するように見える動画が拡散されたほか、ロサンゼルスでは乗客がトランクに見知らぬ男性が隠れているのを発見する事件がありました。さらに、オースティンでスクールバスを違法に追い越したとの報告を受け、ソフトウェアのリコールも実施しています。昨年11月には、サンフランシスコで自動運転車が地域の人気猫をはねる事故も起きており、同社への風当たりは強まる一方です。
PRISM Insight: 今回の事態は、未来の技術とされる自動運転システムが、電力網という従来の都市インフラにいかに深く依存しているかを浮き彫りにしました。スマートシティの実現には、AIやソフトウェアの進化だけでなく、それを支える物理的な基盤の強靭性(レジリエンス)が不可欠です。最先端技術が「停電」という古典的な問題一つで機能不全に陥るリスクは、今後の都市設計における重要な教訓となるでしょう。
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