米国、EU元高官ら5名にビザ発給停止:「デジタル検閲」を巡り同盟に亀裂
米国政府が「デジタル検閲」を理由に、ティエリー・ブルトン元EU委員ら欧州の5名にビザ発給停止措置を発表。EUのデジタルサービス法(DSA)を巡り、米欧間の対立が激化しています。
言論の自由を巡る対立が、大西洋を挟んだ同盟関係を揺るがしています。米国政府は12月24日、米国のテクノロジー企業に対し「反対意見のアメリカ人」を検閲するよう圧力をかけたとして、元EU(欧州連合)委員を含む欧州の5名にビザ発給停止措置を科すと発表しました。この動きは、デジタル空間のルール作りを巡る欧米間の深刻な意見の相違を浮き彫りにしています。
トランプ政権の強硬姿勢:「域外検閲は許さない」
マルコ・ルビオ米国務長官は声明で、対象者を「急進的な活動家」と呼び、「米国の言論人や企業に対して外国が検閲を強化する動きを推進した」と非難しました。ルビオ氏はソーシャルメディアXで、「あまりにも長い間、欧州のイデオローグたちが組織的に米国のプラットフォームに圧力をかけ、彼らが反対する米国の視点を罰してきた」と述べ、「トランプ政権は、このような甚だしい域外検閲行為をこれ以上容認しない」と付け加えました。
今回の措置で最も注目される人物は、2019年から2024年までEUの域内市場担当委員を務めたフランス人のティエリー・ブルトン氏です。サラ・ロジャース国務次官(公共外交・広報担当)は、ブルトン氏をEUの「デジタルサービス法(DSA)」の「立案者」だと指摘しました。DSAは、オンラインプラットフォーム上のヘイトスピーチや偽情報対策を目的とした法律です。ロジャース氏はまた、ブルトン氏が昨年の大統領選挙期間中、ドナルド・トランプ大統領の盟友であるイーロン・マスク氏(Xのオーナー)を脅迫するためにDSAを利用したとも主張しています。
欧州側の猛反発:「魔女狩りだ」
一方、欧州側は米国の措置に強く反発しています。当事者のブルトン氏はXへの投稿で、これを「魔女狩り」と非難し、共産主義との関係を疑われた政府高官が追放された米国のマッカーシー時代になぞらえました。フランスのジャン=ノエル・バロ欧州・外務大臣も「断固として」非難し、「DSAは欧州で民主的に採択されたもので、域外への適用力は一切なく、米国には何の影響も与えない」と強調しました。
他にビザ発給停止の対象となったのは、「デジタルヘイト対策センター」のイムラン・アーメドCEO、ドイツの団体「HateAid」を率いるジョセフィン・バロン氏とアンナ=レナ・フォン・ホーデンベルク氏、そして「グローバル偽情報インデックス(GDI)」を運営するクレア・メルフォード氏です。彼らも一様に「人権と言論の自由のために立ち上がる人々を沈黙させようとする試み」であり、「非米国的」な行為だと批判しています。
深まる対立の背景
今回の措置は、米欧間のテクノロジーを巡る緊張の高まりを象徴しています。DSAは、米国の保守派から右派的な思想に対する検閲の武器だと批判されており、EUはこれを否定しています。今月初めには、EUがマスク氏のXに対し、DSAの透明性規則に違反したとして罰金を科し、対立はさらに激化。米国政府は先週、報復措置としてアクセンチュア、DHL、シーメンスといった欧州の主要企業を標的にする可能性を示唆していました。
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