韓国AI新興企業、検索エンジンDaumを買収へ
UpstageがKakaoとの株式交換でDaumを取得。韓国のAI競争が新局面に。政府主導のAI基盤モデル開発競争への影響も注目される。
韓国の検索市場で20年間続いてきた構図が変わろうとしている。AI新興企業Upstageが、インターネット大手Kakaoとの株式交換により、韓国第2位の検索エンジンDaumを買収することが明らかになった。
衰退する検索エンジンの新たな挑戦
UpstageとKakaoの取締役会は1月29日、株式交換に関する覚書(MOU)を承認した。この合意により、KakaoはDaumを運営する完全子会社AXZ Corp.の株式をUpstageに譲渡し、代わりにUpstageの株式を取得する。
AXZは昨年5月、Daumの競争力回復を目指すKakaoの戦略の一環として分社化された。Daumは韓国でNaverに次ぐ第2位の検索エンジンだが、市場シェアの低下に直面していた。取引の財務条件は明らかにされていない。
Upstageのソン・キム共同創設者兼CEOは「UpstageのAI技術とDaumの幅広いユーザーベースの組み合わせにより、ユーザーがAIにより簡単で便利にアクセスできる道が開かれる」と述べた。
政府主導のAI競争への布石
この買収は単なる事業統合以上の意味を持つ。Upstageは韓国政府が主導するAI基盤モデル開発競争で有力な位置を占めることを期待している。同社はSK Telecom、LG AI Researchとともに第1ラウンドを通過している。
Upstageは独自の大規模言語モデル(LLM)Solarを基盤に新たな成長機会を模索している。一方、AXZもAI主導の産業転換に対応する新たな成長エンジンの発見に取り組んできた。両社は新しいAI搭載サービスの開発と事業シナジーの創出という共通のビジョンを持っているという。
検索からAIプラットフォームへの転換
興味深いのは、この取引が検索エンジンの未来についてどのような示唆を与えるかだ。従来の検索エンジンは情報を「見つける」ツールだったが、AIの時代には情報を「理解し、生成する」プラットフォームへの進化が求められている。
Daumの既存ユーザーベースとUpstageのAI技術の融合は、韓国市場でのAI検索サービスの新たな可能性を示している。これはGoogleのBardやMicrosoftのBing Chatのような海外サービスに対抗する韓国独自のAIアシスタント開発につながる可能性がある。
日本市場への影響も注目される。韓国のAI技術が検索サービスと統合されることで、日本語対応やアジア市場への展開が加速する可能性がある。特に、日本の検索市場でGoogleに次ぐ選択肢を提供することになるかもしれない。
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