30%超の投資増。TSMCがアリゾナに「ギガファブ」建設へ、AI特需で米拠点を加速
TSMCがアリゾナ州での投資を30%以上拡大し、大規模なギガファブ・クラスターを構築します。米台貿易協定による関税引き下げも追い風となり、AI半導体の米国生産が本格化します。
AI(人工知能)のメガトレンドが、世界の半導体地図を塗り替えようとしています。世界最大の受託チップメーカーであるTSMCは、米国アリゾナ州での拡張計画をさらに加速させると発表しました。すでに投じられた1,650億ドルという巨額投資に加え、同社はさらなる資金を投入し、同州に「ギガファブ・クラスター」を構築する方針です。
TSMC アリゾナ 拡張 2026 : 土地不足で900エーカーを追加取得
TSMCのC.C. ウェイCEOは、決算発表において、アリゾナ州で追加の土地を購入したことを明らかにしました。当初予定していた1,100エーカーの敷地では足りず、新たに900エーカーを追加したことで、生産能力を大幅に引き上げる準備が整いました。同社は新年度の設備投資を、前年比で中央値30%以上引き上げる見通しです。
米台貿易協定が後押しする「メイド・イン・USA」
この動きを後押ししているのが、昨日締結された米国と台湾の新たな貿易協定です。この協定により、台湾製品への関税は従来の20%から15%へと引き下げられました。これと引き換えに、台湾企業は半導体やAI分野で合計2,500億ドルの対米直接投資を約束しています。アリゾナの第1工場では、すでに台湾本国の最先端工場と同等の歩留まり(良品率)を達成しており、米国生産への懸念を払拭しています。
| 項目 | 計画内容 |
|---|---|
| 第1工場 | 量産開始済み(台湾と同等の歩留まり) |
| 第2工場 | 2027年後半に稼働予定 |
| 第3工場 | 建設を加速中 |
| 第4工場 | 許可申請手続きを開始 |
関連記事
エヌビディアは2024年、自社チップに開放命令セットRISC-Vを約10億個組み込み、2025年にはCUDAをRISC-Vの上で動かすと発表しました。ロイヤルティー不要の開放標準と、オープンなソフトウェアスタックが、CUDAのロックインを迂回しようとする反攻を解剖します。半導体主権戦争シリーズ第2回。
AMDの新型AIチップMI325Xはメモリ・帯域幅でエヌビディアと同等以上の性能を出すのに、データセンター向けAIアクセラレータ市場でのエヌビディアのシェアは今も86〜92%。本当の防衛線は20年かけて積み上げたCUDAというソフトウェアの生態系にある。半導体主権戦争シリーズ第1回。
サムスン電子とSKが2026年6月29日、韓国内に数千兆ウォン規模の半導体・AI投資を共同発表しました。発表額は報道により3100兆~4755兆ウォンと開きがありますが、本当の勝負どころは資本ではなくインフラ、つまり水と電力です。日本の半導体素材・装置産業への波及も含めて読み解きます。
TSMCが生産する先端半導体の90%が台湾に集中。戦争なき「静かな封鎖」シナリオが世界経済に与える打撃を、スタンフォード大学研究員の分析から読み解く。
意見
この記事についてあなたの考えを共有してください
ログインして会話に参加