ビットコイン中立戦略で年8.9%リターン、機関投資家が注目する新たな収益源
スイスのSygnum銀行が運用するBTCアルファファンドが初四半期で年率8.9%のリターンを達成。価格上昇に依存しない新しいビットコイン投資戦略が機関投資家の関心を集めている。
750ビットコイン(約650億円)が、わずか数ヶ月で一つのファンドに流入した。しかも、このファンドはビットコインの価格上昇を一切期待していない。
スイスのデジタル資産銀行Sygnum BankとStarboard Digitalが共同運用するBTCアルファファンドは、2024年10月のローンチ以来、初の本格的な四半期で年率8.9%のリターンを記録した。これは、ビットコイン建てでの収益であり、価格変動に関係なく安定した利益を追求するマーケットニュートラル戦略の成果だ。
価格に頼らない収益モデルの台頭
従来のビットコイン投資といえば、「買って持ち続ける(HODL)」戦略が主流だった。しかし、BTCアルファファンドは全く異なるアプローチを取る。現物市場とデリバティブ市場の価格差を利用したシステマティックアービトラージ戦略により、市場の上下動に関係なく年8-10%の収益を目標としている。
Sygnumのポートフォリオ管理責任者であるマルクス・ヘンメルリ氏は、「長期的なビットコイン露出を維持しながら収益を生み出す戦略への機関投資家の需要が高まっている」と分析する。実際、ファンドはスイスやシンガポールなどの適格機関投資家にのみ開放されており、早期の大規模な資金流入がその需要を裏付けている。
流動性アクセスの革新
注目すべきは、このファンドの持分がSygnumのロンバード・ローンの担保として利用できる点だ。投資家はビットコインポジションを売却することなく、流動性にアクセスできる。これは、暗号資産を長期保有しつつ、必要に応じて資金調達を行いたい機関投資家にとって画期的なソリューションといえる。
Sygnumは今年、ビットコイン融資スタートアップDebifiと提携し、借り手がビットコインの管理権を手放すことなく融資を受けられる、銀行支援型の初のプラットフォームを立ち上げたばかりだ。これらの取り組みは、暗号資産を従来の金融システムに統合する動きの一環として位置づけられる。
日本市場への示唆
日本では、暗号資産への機関投資がまだ限定的だが、この種のマーケットニュートラル戦略は日本の保守的な投資文化にも適合する可能性がある。価格変動リスクを抑えながら安定収益を追求する手法は、年金基金や保険会社などの長期機関投資家の関心を引くかもしれない。
特に、日本の金融機関が直面する超低金利環境において、年8-10%の安定収益は魅力的に映る。ただし、規制面での課題や、暗号資産に対する慎重な姿勢が普及の障壁となる可能性も否定できない。
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