スペイン、50万人の不法移民に合法的地位を付与へ
スペインが不法移民50万人に合法的地位を付与する計画を発表。欧州で異例の移民政策が労働力不足に悩む日本にも示唆を与える
50万人。この数字が、欧州の移民政策に新たな波紋を投げかけている。
スペイン政府は1月、国内の不法移民に合法的地位を付与する大規模な正規化計画を発表した。対象となるのは犯罪歴がなく、2025年12月31日以前に最低5か月間スペインに滞在していることを証明できる外国人だ。
「わが国にとって歴史的な日です」と、エルマ・サイス包摂・社会保障・移民相は語った。この措置により、受益者は最初に1年間の居住許可を取得し、その後延長が可能となる。申請は4月から開始され、6月末まで受け付けられる予定だ。
経済成長の原動力としての移民
スペインの決定は、欧州の主要国の中では異例といえる。同国は近年、主にラテンアメリカからの大量の移民流入を経験している。保守系シンクタンクのフンカスによると、スペインの不法移民数は2017年の10万7409人から2025年には83万7938人へと8倍に増加した。
現在スペインに住む不法移民の最多出身国は、コロンビア、ペルー、ホンジュラスとされている。
ペドロ・サンチェス首相は、移民を「富、発展、繁栄」の象徴と表現し、社会保障制度への貢献を強調している。実際、スペイン経済は他のEU主要国を上回る成長を見せており、2025年には3%近い成長が予想されている。長年の課題だった失業率も、火曜日に発表された数字によると、2008年以来初めて10%を下回った。
政治的分断と人権の狭間
今回の措置は、社会主義政権と極左政党ポデモスとの合意に基づいている。「権利を提供することが人種差別への答えです」と、元閣僚でポデモスのイレーネ・モンテロ氏は述べた。
大規模移民正規化を求める市民立法提案は約70万人の支持を得ていたが、議会で停滞していた。今回の措置は勅令により承認されるため、議会の承認は不要だ。
しかし、反対の声も強い。保守系国民党のアルベルト・ヌニェス・フェイホー党首は、この大規模合法化が「引力効果を増大させ、公共サービスを圧迫する」と警告した。極右ボックス党のペパ・ミジャン報道官は、この取り組みが「われわれのアイデンティティを攻撃する」として、最高裁判所への上訴を表明している。
日本への示唆
スペインの決断は、労働力不足に直面する日本にとっても重要な示唆を含んでいる。日本の外国人労働者数は年々増加しているが、その多くが技能実習生や特定技能などの限定的な制度下にある。
スペインのように経済成長と移民受け入れを結び付ける政策は、日本の人口減少社会においてどのような意味を持つのだろうか。特に、介護や建設業界での人手不足が深刻化する中、より包括的な移民政策の議論が求められている。
欧州では、ドイツのメルケル前首相による「私たちにはできる」発言以降、移民政策は大きく揺れ動いている。多くの国が制限的な方向に舵を切る中、スペインの逆行的とも見える決定は、移民問題の複雑さを浮き彫りにしている。
記者
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