シリコンバレーの富豪層が政治に参戦、ロー・カンナ議員に挑戦状
40歳の起業家イーサン・アガルワル氏が下院議員選挙に出馬。シリコンバレーの富裕層による政治介入の新たな局面を探る。
40歳の起業家イーサン・アガルワル氏が、政治経験ゼロでカリフォルニア州第17選挙区の下院議員選挙に出馬を表明した。彼の背後には、Y CombinatorのCEOギャリー・タン氏やDoorDash共同創業者スタンリー・タン氏など、シリコンバレーの有力者たちが名を連ねている。
富裕税への反発が生んだ対立候補
アガルワル氏の標的は、現職のロー・カンナ議員(49歳)だ。カンナ議員は昨年12月、カリフォルニア州での一回限りの富裕税に支持を表明し、さらにバーニー・サンダース上院議員と共に10億ドル以上の資産を持つ全米国人に年5%の富裕税を課す法案を提出した。この法案は10年間で4.4兆ドルの税収を見込んでいる。
皮肉なことに、カンナ議員自身も2014年に初出馬した際は、マーク・アンドリーセン、シェリル・サンドバーグ、エリック・シュミットといったテック業界の大物たちに支援された「テック系アウトサイダー」だった。当時の批判者たちは彼を「金で買われた男」と呼んだが、今度は同じ批判がアガルワル氏に向けられることになりそうだ。
代替案としての「ローン課税」
アガルワル氏は富裕税に代わる案として、興味深い提案を示している。最も注目すべきは「資産担保ローンへの課税」だ。超富裕層は株式などの資産を担保にローンを組み、低金利で資金調達する一方、技術的には「借金」のため税金を支払わない。この抜け穴を塞ぐという発想は、ヘッジファンド大手ビル・アックマン氏やVC投資家チャマス・パリハピティヤ氏らも提唱している手法だ。
さらに彼は、カリフォルニア州のキャピタルゲイン税率(現在13.4%)の引き上げや、投資目的で保有される住宅への高額固定資産税も提案している。
議会改革への強いコミット
「ワシントンでの最優先事項は何か」との質問に、アガルワル氏は迷わず答えた。1位:議員とその家族の株式取引禁止、2位:企業PAC資金の禁止、3位:任期制限。興味深いのは、選挙区内の5000人の貧困児童問題について熱く語った直後にも関わらず、それがトップ3に入らなかった点だ。
カンナ議員の株式取引についても厳しく批判している。「民主党議員として史上最多の株式取引を行っている」と主張するアガルワル氏に対し、カンナ議員側は「個人的な株式保有や取引は一切しておらず、記録上の取引は妻の婚前資産を独立管理する信託によるもの」と反論している。
規制に対する現実的アプローチ
AI規制については、国家安全保障の観点を重視する姿勢を示した。「最も強力なモデルを持つことがアメリカにとって重要で、我々が構築しなければ中国に負ける」として、企業の開発能力を制限すべきではないと主張。一方で「AIのFDA」的な独立機関の設立には前向きな姿勢を見せている。
予測市場のPolymarketやKalshiについては、既にCFTC(商品先物取引委員会)の規制下にあることを評価し、現状の規制で十分としている。
草の根キャンペーンの戦略
アガルワル氏は地元密着型のキャンペーンを展開する計画だ。選挙区内の私立学校ハーカー出身で、「数百人、おそらく数千人の住民を知っている」と語る。中国語やヒンディー語の教育機関、文化イベントへの参加を通じて、多様なコミュニティとの接点を重視している。
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